エッグタルトとポルトガル食文化——パスティス・デ・ナタと毎朝のカフェ
ポルトガルのエッグタルト(パスティス・デ・ナタ)と食文化を解説。地元のパスティサリア文化・イワシ料理・ポルトガルワインまで、在住者が毎日の食で感じるポルトガルらしさ。
ポルトガルで朝食を食べるとき、選択肢はほぼ一つだ。近所のパスティサリア(pastissaria、お菓子屋兼カフェ)に入って、エスプレッソとパスティス・デ・ナタを頼む。EUR 2.5〜3.5で完結する。この習慣を繰り返すうちに、ポルトガルの食文化の核心が見えてくる。
パスティス・デ・ナタとは
Pastéis de Nata(パスティス・デ・ナタ)は、カスタードクリームをパイ生地のカップに流して高温で焼いたエッグタルトだ。外側はサクサク、内側はとろりとしたクリーム。シナモンとパウダーシュガーをかけて食べるのが定番の食べ方だ。
発祥はリスボン郊外のベレン地区にある「Pastéis de Belém」(1837年創業)。このお店のレシピは今も秘密で、行列が絶えない観光スポットになっている。ただし現地在住者に「毎回ベレンまで行く?」と聞けば「近所の店で十分」という答えが返ってくる。品質は街中の普通のパスティサリアでも高い。
パスティサリア文化
ポルトガル人の朝はパスティサリアから始まる。仕事前の10〜15分、スタンディングでエスプレッソをあおる。週末は少し長く座って新聞を読む。このリズムが日常に組み込まれている。
「ビカ(bica)」と呼ばれるエスプレッソはEUR 0.6〜1程度。「ガロン(galão)」はエスプレッソをミルクで割った大きめのカップで、EUR 1〜1.5。スターバックスのラテがEUR 4〜5であることと比べると、毎朝カフェに行く習慣を維持しやすい価格帯だ。
ポルトガルの主食系料理
バカリャウ(Bacalhau、塩漬けタラ)
ポルトガル料理の代名詞で「365種類のレシピがある」と言われる塩漬けタラ。調理法によって全く異なる食感と味になる。Bacalhau à Brás(卵炒め)、Bacalhau com Natas(クリーム焼き)、Bacalhau assado(丸焼き)が代表的。
イワシ(Sardinha)
6月のサン・アントニオ祭(Festa de Santo António)では、路上でイワシを炭火焼きにする光景がリスボン中に広がる。串に刺した焼きイワシをパンにのせて食べるスタイルは、ポルトガルの夏の風物詩だ。
フランセジーニャ(Francesinha)
ポルト発祥の重量級サンドイッチ。ハム・ソーセージ・ビーフをパンで挟み、溶けたチーズと辛いソースで覆い、目玉焼きをのせる。ポルトに行ったら避けては通れない一皿だ。
在住者の食卓
日本食材はリスボン・ポルトの一部のアジア系食材店で手に入るが、種類は限られ価格も高い。日本食レストランはリスボンに複数あるが、現地価格ではなく観光価格に近い。
「ポルトガル料理に慣れれば食費は抑えられる」というのが在住者の共通見解だ。バカリャウ・豚肉・野菜・豆を使った家庭料理は安価で栄養豊富で、スーパーでの自炊コストは比較的低い。