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ポルトガルの永住権取得——D7ビザからPRへの道筋と必要書類

ポルトガルでD7ビザから永住権(PR)を取得するまでの手順・必要書類・ポルトガル語要件を解説。5年の居住で申請可能になるルートの全体像。

2026-05-01
永住権D7ビザ移住手続きポルトガル語EU

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D7ビザでポルトガルに移住した人が最初に驚くのは、「永住権の申請にポルトガル語の試験がある」という事実かもしれない。英語が通じる国だからと油断していると、5年後に足元をすくわれる。

永住権取得までのタイムライン

D7ビザで入国後、滞在許可証(Autorização de Residência)を取得する。初回は2年間有効で、その後2年ごとに更新する。合法的に5年間居住すると、永住許可証(Autorização de Residência Permanente)の申請資格が生まれる。

ポイントは「5年間の合法的居住」の定義だ。年間183日以上のポルトガル滞在が原則とされている。長期の一時帰国や第三国への滞在が多いと、居住要件を満たせないリスクがある。

永住権申請に必要な書類

  • 有効なパスポート
  • 5年以上の一時滞在許可証の保有証明
  • 住居の証明(賃貸契約書または不動産所有証明)
  • 生活資金の証明(銀行残高証明・収入証明)
  • 犯罪経歴証明書(ポルトガルおよび日本の無犯罪証明。アポスティーユ付き)
  • 税務・社会保障の納付証明(Finanças・Segurança Socialの証明書)
  • ポルトガル語能力証明(A2レベル以上)

ポルトガル語A2レベルとは

A2はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の初級レベルで、「日常の基本的なやり取りができる」水準を指す。買い物、道の案内、簡単な自己紹介程度の会話力だ。

試験はCAPLE(Centro de Avaliação de Português Língua Estrangeira)が実施するCIPLE試験を受けるのが一般的で、受験料はEUR 70〜90(約11,200〜14,400円)程度。リスボン大学やコインブラ大学などの認定機関で受験できる。

ポルトガル語は日本人にとって発音のハードルが高い言語だが、A2レベルなら独学+現地の語学学校(月EUR 100〜200程度)を組み合わせれば、1〜2年で到達できるケースが多い。移住初年度から少しずつ始めておくのが現実的だ。

NIF番号と税務登録

永住権申請の前提として、ポルトガルのNIF(Número de Identificação Fiscal、納税者番号)を取得し、税務申告を継続している必要がある。NIF番号はFinanças(税務署)で取得でき、銀行口座開設や賃貸契約にも必要になるため、移住直後に取得するのが通常だ。

社会保障(Segurança Social)への登録・納付も永住権審査で確認される。フリーランスとして活動している場合は、ポルトガルでの社会保障加入が求められる。

AIMA(移民庁)での手続き

永住権の申請先はAIMA(Agência para a Integração, Migrações e Asilo)だ。旧SEF(外国人・国境庁)が2023年に廃止され、AIMAに移管された。

手続きは予約制だが、予約が数ヶ月先になることも珍しくない。2025年時点で約97万人が初回の病院受診を待っているのと同様に、移民関連の行政にも慢性的な処理遅延がある。書類は早めに揃えておき、予約が取れ次第すぐに提出できる状態にしておくのが賢明だ。

永住権の先——市民権という選択肢

永住権取得後、さらに1年(合計6年)のポルトガル居住で市民権(国籍)の申請資格が生まれる。ポルトガル国籍を取得するとEUパスポートが手に入り、EU27カ国での居住・就労が自由になる。

ただし日本は二重国籍を認めていないため、ポルトガル国籍を取得すると日本国籍を喪失する。この点は慎重に検討する必要がある。

永住権であればEU域内での移動の自由は限定的だが、日本国籍を維持したまま無期限でポルトガルに住める。「EUパスポートが欲しいのか、ポルトガルに住み続けたいのか」——この問いに対する答えによって、永住権と市民権のどちらを目指すかが変わってくる。

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