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6月のリスボンはイワシの匂いに包まれる|サントス・ポプラーレスとポルトガルの祝祭文化

毎年6月、リスボンの路地でイワシを焼く煙が立ち上る。サント・アントニオ祭を中心とするサントス・ポプラーレスは、ポルトガル人にとって年で最も重要な夜だ。

2026-05-27
ポルトガル祭りサントス・ポプラーレスイワシリスボン

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6月12日の夜、リスボンの旧市街アルファマ地区を歩くと、息が詰まるほどのイワシの煙に包まれる。路地のあちこちで炭火の上にイワシが並び、住民がワインを片手に通りに繰り出す。クリスマスでも元旦でもなく、これがポルトガル人にとって年で最も大切な夜だ。

サント・アントニオ祭

6月13日はリスボンの守護聖人サント・アントニオの祝日。前夜の12日が本番で、街全体が夜通しパーティーになる。

サント・アントニオは「縁結びの聖人」とされ、この夜に求婚するカップルが多い。リスボン市が毎年「サント・アントニオの結婚式」として集団結婚式を主催し、市が費用を負担する。2024年は16組が市役所前の特設壇上で結婚した。

サントス・ポプラーレスの1ヶ月

サント・アントニオ祭はサントス・ポプラーレス(Festas dos Santos Populares、民衆聖人祭)の一部。6月を通じてポルトガル全土で聖人を祝う祭りが続く。

  • 6月13日:サント・アントニオ(リスボン)
  • 6月24日:サン・ジョアン(ポルト)
  • 6月29日:サン・ペドロ(各地の漁村)

ポルトのサン・ジョアン祭では、見知らぬ人の頭をプラスチックのハンマーで叩くという謎の伝統がある。痛くはないが、初めて食らうと驚く。

イワシの経済

6月になるとスーパーの鮮魚コーナーにイワシが山積みになる。価格は1kgあたりEUR3〜6(約480〜960円)程度。ピーク時には需要が供給を上回り、価格が跳ね上がることもある。

焼き方はシンプル。粗塩を振って炭火で焼くだけ。付け合わせは茹でたジャガイモとグリーンサラダ。パンの上にイワシを乗せ、油と汁をパンに吸わせて食べるのが正しい作法だ。

近年はイワシの漁獲量が減少傾向にあり、EUの漁獲規制が議論されている。2024年にはイワシの価格が前年比20%以上上昇した地域もあった。

アルファマの夜

祭りの中心はアルファマ地区。狭い路地に手作りの装飾が施され、マンジェリコ(バジルの鉢植え)が飾られる。各通りの住民グループが飾り付けを競い合い、最も美しい通りを選ぶコンテストもある。

アルファマの階段に座って、イワシを食べながらワインを飲む。遠くからファドの歌声が聞こえる。気温は20℃前後で、半袖でちょうどいい。

午前2時を過ぎても人が減らない。子供も犬も一緒にいる。警察はいるが、雰囲気は穏やかだ。酔っ払いが怒鳴ることはほとんどない。

在住者にとっての6月

6月はリスボンが最も魅力的に見える月だ。観光客も多いが、祭りの主役はあくまで地元住民。在住者として参加すると、近所の人との距離が一気に縮まる。

ただし、アルファマの賃貸物件に住んでいる場合、祭りの夜は午前4時まで騒音が続くことを覚悟した方がいい。イヤープラグは6月の必需品だ。

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