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6月のリスボンを支配するイワシの煙——サントス・ポプラーレスと庶民の祭り

毎年6月のリスボン最大の祭りSantos Populares(サントス・ポプラーレス)を解説。イワシの炭火焼きが街を埋め尽くす理由、アルファマの夜通しパーティー、マンジェリコの鉢植え、在住日本人の楽しみ方まで。

2026-05-31
祭りサントス・ポプラーレスイワシアルファマ6月

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毎年6月12日の夜、リスボンの旧市街アルファマ地区に立つと、路地の両側から炭火でイワシを焼く煙が立ちのぼり、視界が白くなる。年間約13トンのイワシが、この1晩だけで消費されるという推計もある。Santo António(聖アントニオ)の前夜祭、Santos Populares(サントス・ポプラーレス)だ。

聖アントニオとリスボン

Santo Antónioはリスボン生まれの聖人で、ポルトガルで最も人気のある守護聖人だ。彼の命日6月13日は「Dia de Santo António」として祝われ、前夜祭の6月12日が実質的なメインイベントになる。

リスボン市はこの日を市の祝日としており、市役所主催のパレード「Marchas Populares」がアヴェニーダ・ダ・リベルダーデ(Avenida da Liberdade)を行進する。各地区(bairro)がチームを組み、衣装と振り付けを競い合う。

イワシの構造

なぜイワシなのか。6月はポルトガルのイワシ漁の最盛期にあたる。脂が乗り、最も美味い時期だ。かつて庶民の安い食材だったイワシが、祭りの主役に収まったのは自然な流れだった。

祭り期間中の価格通常価格
イワシ1皿(4〜6尾) EUR 5〜10EUR 3〜5
パン(broa) EUR 1〜2EUR 0.50〜1
ビール(fino) EUR 2〜4EUR 1〜2

祭り価格は通常の1.5〜2倍になるが、それでも1人EUR 10〜15で食べて飲んで楽しめる。ヨーロッパの祭りとしては破格の安さだ。

アルファマの夜

6月12日の夜、アルファマ地区は文字通り「歩けない」ほどの人出になる。狭い路地にテーブルと椅子が並び、住民が自宅の前でイワシを焼き、通行人に売る。即席のバーが路地の角に出現し、ファド(fado)の生演奏が聞こえる。

午後10時頃から人が集まり始め、夜通し続く。メトロとバスは深夜も特別運行する。朝5時頃に人が引き始め、日が昇る頃にはイワシの残骸と紙くずが路上を覆っている。

マンジェリコ(Manjerico)

祭りのもう一つの象徴が、小さなバジルの鉢植え「manjerico」だ。紙の花と恋のメッセージ(quadra)を添えて恋人や友人に贈る。聖アントニオが「恋愛の守護聖人」でもあることに由来する。

街角でEUR 2〜5で売られるこの鉢植えを、6月のリスボンでは誰もが手に持っている。バジルの香りとイワシの煙が混ざった匂いが、6月のリスボンの匂いだ。

在住日本人の楽しみ方

  • アルファマに行く: 6月12日の夜がメイン。19時頃に到着して場所を確保するのがベスト
  • グラサ(Graça)地区: アルファマより空いていて、展望台(Miradouro da Graça)からの夜景が見事
  • イワシは手で食べる: パンの上にイワシを置き、手で身をほぐして食べるのが正式な食べ方
  • 翌日6月13日のパレード: Avenida da Liberdadeで20時頃開始。無料で観覧可

1年でリスボンが最も「リスボンらしく」なる夜だ。この祭りのために6月に一時帰国を避ける在住者もいるほど、中毒性がある。

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