イワシとシーフード文化——鮮魚市場と在住者の食卓
ポルトガルのイワシ(サルジーニャ)文化と豊かなシーフードを解説。炭火焼きイワシの季節・鮮魚市場の活用法・バカリャウ以外のポルトガル海の幸と在住者の食生活。
ポルトガルに住んで6月を迎えると、街のどこからかイワシを焼く煙と香りが漂ってくる。サン・アントニオ祭(Festa de Santo António)の時期だ。路地にグリルが出され、串に刺した焼きイワシ(サルジーニャ・アサーダ)とビールを片手に人々が立ち飲みする。初夏の風物詩だ。
ポルトガルとイワシ
ポルトガルはイワシの一大消費国だ。大西洋が生み出す豊富なイワシは、缶詰(Conservas de Sardinha)という形でも世界に輸出されている。ポルトガルの缶詰イワシは、オリーブオイル漬け・トマトソース・レモン漬けなど種類が豊富で、スーパーに専用の棚が設けられている。
缶詰の老舗ブランドRamirez(1853年創業)やComurの製品はギフトとしても人気で、観光客がお土産に買っていく。
炭火焼きイワシの食べ方
新鮮なイワシは、シンプルに塩をふって炭火で焼くだけでいい。脂が乗った7〜9月のイワシは特においしく、パンにのせてポルトガル産のオリーブオイルをかけて食べるのが定番だ。レモンをかけるか一さじのトマトサラダを添えるだけで完成する。
EUR 3〜5程度で買える食材が、最高の夕食になる——ポルトガルの食の豊かさはここにある。
ポルトガルのシーフード全体像
イワシ以外にも、ポルトガルのシーフードは幅広い。
| 魚介類 | ポルトガル語 | 代表的な調理法 |
|---|---|---|
| タコ | Polvo | オーブン焼き(ポルヴォ・ノ・フォルノ)、サラダ |
| エビ | Camarão | ニンニク・オリーブオイル炒め(カマロン・ア・ブライ) |
| 貝(アサリ等) | Amêijoas | ニンニク・ワインソース(ブルガラン) |
| イカ | Lulas | フライ、リゾット |
| ヤリイカ | Chocos | 炭火焼き |
| ウナギ | Enguias | フライ、煮込み |
「Ameijoas à Bulhão Pato(アサリのブリャオン・パト風)」はリスボン名物で、ニンニク・オリーブオイル・コリアンダーで炒めたアサリのシンプルな一皿だ。在住者が友人に「絶対試して」と勧める料理の筆頭格。
鮮魚市場の活用
リスボンには「Mercado da Ribeira(リベイラ市場)」という歴史ある中央市場がある。観光施設化が進んだフードホール部分(Time Out Market)の奥に、今も鮮魚・青果の市場が続いている。
朝早く行くと漁師が直接持ち込んだ魚が並ぶ。価格はスーパーより高くないことが多く、質は確実に良い。
ポルトにも「Mercado do Bolhão」(2022年にリニューアルオープン)があり、地元の鮮魚・食材が揃う。
在住者の食卓において、シーフードは「外食でも自炊でも安くておいしい選択肢」として機能する。これがポルトガルの食の大きな強みだ。