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生活・インフラ

バスとMRTの使い分け——シンガポール公共交通の経済学

シンガポールの公共交通はMRTとバスが補完し合う設計です。どちらをいつ使うか、料金体系と利便性の観点から在住者目線で解説します。

2026-04-12
MRTバス交通生活

この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。

シンガポールに来たばかりの人がよく戸惑うのが、バスの使い方だ。MRTは直感的でわかりやすいが、バスは路線番号と停留所の組み合わせを把握する必要がある。ただ慣れると、バスは行き先によってはMRTより速く、安く移動できる手段になる。

料金体系の基本

シンガポールの公共交通料金はEZ-Link(ICカード)を使った場合、距離制で計算される。MRT・バスともに共通のSimplyGo(交通系ICカード)が使えるが、料金体系には違いがある。

移動手段距離帯料金例(SGD)
MRT1〜3km0.83〜1.10
MRT最長距離2.17程度
バス1〜3km0.91〜1.07
バス最長距離2.07程度

乗り換え割引(Transfer Rebate)が適用されるため、MRT→バス→バスと乗り継いでも、合計額が抑えられる設計だ。30〜45分以内の乗り継ぎが対象。

MRTが強い場面

目的地がMRT駅に直結している場合はMRTが圧倒的に速い。駅間距離が短く本数が多いため、ピーク時でも平均待ち時間は2〜5分程度。シティエリア(オーチャード〜マリーナベイ〜チャンギ)を直線で移動する場合は特に優秀だ。

ただし、シンガポールのMRT網は郊外への延伸が続いているものの、全国を網羅しているわけではない。HDBが密集する住宅地のラストワンマイルは、バスが担う設計になっている。

バスが優位な場面

バスは「MRT駅から目的地まで」の補完に使うだけでなく、直行ルートとしても優れたケースがある。例えば、ビシャンからオーチャードまで行く場合、MRTで乗り換えが発生するより、直通バスが速いことがある。

また、バスはルートの視認性が高く、車窓から街を観察できる。観光目的で利用する価値もある。

EZ-Link / SimplyGo の使い方

2023年からシンガポールの公共交通はSimplyGo(クレジットカード直接タッチ、またはSAM/EZ-Linkアプリ)への移行が進んでいる。従来のEZ-Link物理カードも使えるが、段階的にSimplyGoへ統合される方向だ。

残高確認はトランザクションリスト経由で確認できるため、日本の交通系ICカードより残高が見えにくいという不満も聞く。アプリで管理するのが現実的だ。

Grab・タクシーとの使い分け

短距離の移動でGrabを使うと、最低料金でも7〜10SGD(約805〜1,150円)かかる。公共交通の1SGD以下との差は大きい。雨の日・深夜・荷物が多い場合以外は、公共交通のほうがコスパが高い。

シンガポール在住者の多くが「MRT+バス+徒歩」の組み合わせで月交通費を100〜150SGD(約11,500〜17,250円)程度に抑えている。毎日Grabを使うと倍以上かかる計算だ。

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