Kaigaijin
子育て・教育

シンガポールの保育料、補助金込みで日本と比べると何が違うのか

シンガポールの保育料はECDA補助金で月SGD 300台まで下がる場合もあるが、日本語環境は別途確保が必要。補助金込みの実負担額・待機児童・言語環境を日本の認可保育園と比較する。

2026-04-06
保育園シンガポール子育てECDA補助金教育日本比較

この記事の日本円換算は、1SGD≒124円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

シンガポールの保育料は高い。ただし補助金を使えばかなり下がるケースもある。問題は「日本の保育園と同じ感覚で預けられるか」で、答えはノー。言語環境もカリキュラムも根本的に違う。

シンガポールの保育料——補助金なしの場合

シンガポールの保育施設(チャイルドケアセンター)の月額保育料は、運営主体と年齢によって大きく異なる。

施設タイプ月額(目安)日本円換算
政府系(PCF Sparkletots等)SGD 720〜850約89,000〜105,000円
非営利(NTUC My First Skool等)SGD 800〜960約99,000〜119,000円
私立(一般)SGD 1,200〜2,000約149,000〜248,000円
私立(プレミアム・インター系)SGD 2,000〜3,500約248,000〜434,000円

※2025年時点の一般的な水準。施設・年齢・プログラムによって異なる。最新情報はECDA公式サイトで確認を。

2歳未満(Infant Care)はさらに高額で、政府系でもSGD 1,200〜1,400/月が目安。私立だとSGD 2,500以上になることも珍しくない。

ECDA補助金で実負担はどこまで下がるか

シンガポール政府はECDA(Early Childhood Development Agency)を通じて保育料の補助金を出している。ただし対象はシンガポール市民(SC)と永住権保有者(PR)のみ。EP・Sパスホルダーの子供で市民権・PRを持っていない場合は補助金の対象外。

シンガポール市民の子供の場合(※2025年時点の情報に基づく。最新情報はECDA公式サイトで確認を):

補助金対象施設月額補助
Basic Subsidy認可チャイルドケア全般最大SGD 600
Additional Subsidy所得連動(世帯月収に応じて)最大SGD 467

Basic Subsidyは世帯所得に関係なく一律で適用される。Additional Subsidyは世帯月収SGD 12,000以下の場合に段階的に支給される。

政府系チャイルドケア(月SGD 800の場合)で両方の補助金が満額適用されると:

SGD 800 − SGD 600(Basic)− SGD 467(Additional)= SGD 0以下 → 実質無料

ただしAdditional Subsidyが満額出るのは世帯月収SGD 3,000以下の場合。世帯月収SGD 6,000〜9,000の場合、Additional SubsidyはSGD 200前後まで下がる。

駐在員や現地採用の日本人家庭の場合、世帯月収がSGD 12,000を超えるケースが多い。その場合はBasic Subsidy(SGD 600)のみ適用され、政府系でも実負担はSGD 200〜400/月(約25,000〜50,000円)前後になる。

日本の認可保育園との実負担比較

日本の認可保育園の保育料は自治体と世帯年収によって決まる。

世帯年収(目安)月額保育料(3歳未満)
〜約360万円0〜10,000円
約500万円20,000〜30,000円
約700万円30,000〜45,000円
約1,000万円以上50,000〜80,000円

※自治体によって大きく異なる。また2019年10月からの幼保無償化により、3〜5歳は原則無料。

3歳以上: 日本は幼保無償化で原則無料(給食費等の実費は除く)。シンガポールは3歳以上でもチャイルドケアセンターの保育料は発生する(Kindergartenは別制度で、週数日・半日のプログラム)。

3歳未満: 日本は世帯年収700万円で月3万〜4.5万円程度。シンガポールは補助金込みで月SGD 200〜400(約2.5万〜5万円)。数字だけ見ると大きな差はないように見える。

ただしシンガポールの場合、子供がシンガポール市民でなければ補助金が出ない。EP・Sパスホルダーの子供(外国人扱い)は補助金なしの全額負担になるため、政府系でも月SGD 800〜1,000、私立なら月SGD 1,500〜2,500をそのまま払うことになる。

待機児童——シンガポールと日本の差

日本の待機児童問題はここ数年で改善傾向にあるが、都市部では依然として希望の園に入れないケースがある。

シンガポールは待機児童問題が比較的少ない。政府がチャイルドケアセンターの増設を進めており、2020年代に入ってからは供給が需要を概ね満たしている。ただし人気の施設(特にPCF Sparkletotsの一部やMy First Skoolの人気園)は数ヶ月のウェイティングリストがある場合もある。

駐在員が多いエリア(Orchard、Bukit Timah、Holland Village周辺)の私立・インター系チャイルドケアは、特に2歳未満のInfant Careで空きが少ないことがある。赴任が決まった時点で早めに問い合わせるのが現実的。

言語環境——ここが最大の違い

シンガポールのチャイルドケアセンターは基本的に**英語+母語(中国語・マレー語・タミル語)**のバイリンガルカリキュラム。日本語は入っていない。

日本人家庭にとっての選択肢は大きく3つ。

1. 現地チャイルドケア(英語+中国語):

  • 保育料が安い(政府系ならSGD 200〜400/月)
  • 子供は英語環境に浸かる
  • 日本語は家庭で維持する必要がある

2. 日系幼稚園:

  • 日本語環境で保育を受けられる
  • 月額SGD 1,200〜2,000前後
  • 補助金は対象外(日系幼稚園の多くはECDA認可外)
  • 園数が限られる(シンガポール国内に数園)

3. インターナショナルスクール(Pre-K):

  • 英語メインだが多国籍環境
  • 月額SGD 2,000〜3,500
  • 補助金は対象外
  • 日本語維持は家庭+補習校

「英語環境が手に入る」のはシンガポールのメリット。ただしそのぶん日本語の維持・習得を別途確保する必要がある。日本語補習校や日系幼稚園(週1回の土曜校など)の月謝はSGD 200〜400程度。これを加えると、実質的な教育コストはさらに上がる。

保育時間と働き方

シンガポールのフルデイ・チャイルドケアは一般的に朝7時〜夜7時。日本の認可保育園(7:30〜18:30、延長で19:00〜20:00)と比べて大きな差はない。

ただしシンガポールでは家事・育児のサポートとしてヘルパー(FDW=Foreign Domestic Worker)を雇用するのが一般的。月額SGD 600〜800(約74,000〜99,000円)の給与+ヘルパーレビー(SGD 300/月)で、保育園の送迎・家事・子供の世話を任せられる。

日本にはこの制度がないため、保育園の送迎を親が行い、延長保育を使い、病児保育を探す——というオペレーションを組む必要がある。シンガポールのほうが「共働きの運用コスト」は高いが、その分柔軟性がある。

結局、何が違うのか

項目シンガポール日本
月額実負担(補助金後)SGD 200〜400(SC/PR世帯)0〜45,000円(3歳未満)
外国人世帯の場合補助金なし(SGD 800〜2,500)外国人でも認可は同条件
3歳以上有料(補助あり)原則無料(幼保無償化)
待機児童少ない都市部で残存
言語英語+中国語日本語
日本語維持別途手配(SGD 200〜400/月)不要
ヘルパー制度あり(SGD 600〜800/月)なし

保育料だけを比較すると、シンガポール市民の子供であれば日本と大差ない。ただし日本人駐在員の子供(外国人扱い)は補助金が出ないため、コストが大きく跳ね上がる。

そして最大の違いは言語環境。「子供に英語を身につけさせたい」なら現地チャイルドケアは合理的な選択肢。ただし日本語の維持は親の努力と追加コストがかかる。このトレードオフを理解した上で、保育環境を選ぶのが現実的な判断になる。

コメント

読み込み中...