お金・税金
シンガポールのCPFと外国人労働者——PR取得で変わるお金の仕組み
シンガポールのCPF(中央積立基金)はPR(永住権者)以上に適用される。EP・SPの外国人はCPF対象外。PR取得後の強制積立とメリット・デメリット、帰国時の扱いを解説。
2026-04-11
CPF中央積立基金PR永住権シンガポール年金社会保障
この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。
「シンガポールでPRを取ったらCPFが始まります」と言われた日本人が「それは何ですか?」となるケースは多い。
CPFはシンガポールの社会保障の中核をなす強制積立制度だ。PR(Permanent Resident)・市民は全員加入が義務付けられており、EP(Employment Pass)等の一般就労ビザ保持者は対象外だ。
CPFとは
CPF(Central Provident Fund)はシンガポール政府が運営する強制積立制度で、老後資金・住宅購入・医療費の積立に使われる。
口座は3つに分かれる:
- OA(Ordinary Account):住宅購入・教育・保険・投資に使える。年利2.5%
- SA(Special Account):老後資金として長期積立。年利4%
- MA(MediSave Account):医療費・保険料に使える。年利4%
拠出率(35歳以下の場合):
| 負担者 | 拠出率 |
|---|---|
| 労働者本人 | 20%(給与から天引き) |
| 雇用主 | 17%(給与に上乗せ) |
| 合計 | 37% |
月給SGD 6,000の場合、労働者がSGD 1,200・雇用主がSGD 1,020をCPFに拠出する。手取りはSGD 4,800になり、CPF口座にSGD 2,220が積み立てられる。
EP(Employment Pass)はCPF非対象
外国人がEP・SP(S Pass)・WP(Work Permit)で働く期間は、CPFの対象にならない。
つまり:
- 給与から天引きされるCPFがない→手取り率が高い
- 雇用主のCPF拠出もない→雇用主の人件費として見ると、総人件費が低くなる
- CPFを通じた住宅購入・医療費積立の仕組みが使えない
EP在住者は、社会保障面では「自分で全部管理する必要がある」状況だ。老後資金・医療費は自分で手当てする必要がある。
PR取得後の変化
PRを取得すると、翌月からCPFの拠出が始まる。
メリット:
- 老後の強制貯蓄ができる(4%の利息は、市場金利より魅力的)
- HDB(公共住宅)の購入に使える
- 医療費積立(MediSave)が使える
デメリット(日本人視点):
- 手取りが20%減る(給与天引き分)
- 日本に帰国する場合、CPFを引き出すには「PR放棄」手続きが必要
- 引き出しには課税される(引き出し課税率はケースによる)
帰国時のCPFの扱い
PR放棄または市民権放棄をした場合、CPFの全額を引き出すことができる。ただし:
- Medisave最低額(Medisave Basic Healthcare Sum)を超える分のMA口座は引き出し可能
- 引き出した全額はシンガポールでの非課税対象だが、日本帰国後の税務上の扱いは日本の税務当局に確認が必要
「PR取得はシンガポールに長期定住する前提の選択肢」という理解で、帰国を視野に入れた短期〜中期在住者はEPのままの方がシンプルな場合が多い。
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