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シンガポールのCPFとは——在住日本人が知っておきたい中央積立基金の仕組み

シンガポールの社会保障制度「CPF(中央積立基金)」を在住日本人の視点で解説。拠出率、引き出し条件、PR取得後の影響まで具体的にまとめました。

2026-04-14
CPF社会保障就労PRシンガポール

この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

シンガポールで働くなら、CPF(Central Provident Fund)は避けて通れない制度です。ただ、PRでもEPホルダーでもない外国人就労者には原則として適用されない——この一点を誤解している人が意外に多い。

CPFの基本構造

CPFはシンガポール市民とPR(永住権保持者)を対象とした強制積立制度です。年金、医療、住宅購入の3つの目的に対応した3つの口座に資金が分かれています。

  • Ordinary Account(OA): HDB購入・教育・投資に使用可
  • Special Account(SA): 退職積立(現在はRetirement Account統合済み)
  • MediSave Account(MA): 医療費・入院保険に使用

2025年時点の拠出率は、雇用者側が給与の17%、従業員側が20%(55歳未満の場合)。合計37%が月次で積み立てられます。月給5,000SGDなら、1,000SGD(約115,000円)が自分の口座に入り、雇用者が別途850SGD(約97,750円)を積み立てる計算です。

出典: CPF Board公式サイト(https://www.cpf.gov.sg/)

EPホルダーはCPF対象外——ではどうなる?

Employment Pass保持者はシンガポール国民でもPRでもないため、CPFへの拠出義務はありません。給与は全額手取りになる、とも言えますが、逆に言えば社会保障網の外にいるということ。医療費は全額自己負担(保険加入が前提)、住宅購入にCPF残高を使えません。

駐在員として来ている場合、会社が医療保険を手配していることがほとんどなので実害は出にくい。ただし、PRへの移行後は即座にCPF拠出が始まります。

PR取得後の現実的な変化

PR取得直後は給与の手取りが減ります。従業員拠出分として給与の20%がCPFに入るため、月給8,000SGDなら実質手取りが6,400SGDになる。一時的な痛みとして感じる人が多い部分です。

一方で、HDB(公共住宅)の購入資格が生まれ、OA残高を頭金に充てることができます。HDB resaleの中央値は2024年時点で約54万SGD(約6,210万円)。OA残高をうまく使いながら購入する人も少なくありません。

ただし、CPF資金を投資に使う場合は「CPFIS(CPF投資スキーム)」を通じる必要があり、使える商品は限定されています。自由に動かせるお金ではない点は注意が必要です。

帰国・退職時の引き出しルール

日本に帰国することが確定した場合、CPFの全残高を引き出すことができます。ただし条件があります。

  • 永住権またはシンガポール市民権を正式に放棄する
  • 55歳以上の場合は「Retirement Sum」を満たしているか確認が必要

PR放棄のプロセスはICA(移民局)を通じて行います。残高は申請から数週間でシンガポールの銀行口座に振り込まれる仕組みです。帰国を見据えている人は、PR放棄のタイミングとCPF引き出しをセットで計画しておく価値があります。

在住日本人が意識しておくべきこと

EPホルダーのうちはCPFは関係ありません。ただ、PRを検討する段階になると状況が変わります。「CPFで強制的に老後積立がされる」という見方もできますが、「毎月20%が流動性のない口座に入る」という制約とのトレードオフです。

シンガポールでの生活が5年・10年と続くなら、CPFの設計を理解した上で資産計画を立てるのが現実的な選択肢の一つです。

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