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シンガポールの労働権法(Employment Act)と外国人労働者の権利

シンガポールで働く外国人が知っておくべきEmployment Actの基本を解説。残業代・有給休暇・解雇規定・MOM(労働省)への苦情申立まで、現地採用者向けに整理しました。

2026-04-26
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この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

「日本みたいに残業代が出ないのが当たり前」と思い込んで働いていたら、実は法的に請求できた——シンガポールで現地採用として働く日本人から、こういう話を聞くことがある。

シンガポールのEmployment Act(雇用法)は2019年に大幅改正され、保護対象が広がった。自分の権利を知らずに損をするのはもったいない。

Employment Actの適用範囲

2019年4月以降、Employment Actはほぼ全ての民間雇用者に適用される(管理職・役員を含む)。

ただし、残業代や休憩時間などの「Part IV」と呼ばれる一部条項については、月収SGD 2,600(299,000円)以下の従業員のみが対象になる。

条項適用対象
基本的な雇用保護(解雇・有給等)全従業員
残業代・休憩時間(Part IV)月収SGD 2,600以下の従業員のみ

現地採用の日本人の場合、給与水準によってPart IVの適用外になることも多い。この点を最初に確認しておくことが重要だ。

有給休暇(Annual Leave)

Employment Actによる有給の最低付与日数は勤続年数に応じて変わる。

勤続年数最低有給日数(年間)
1年未満(比例按分)日割り
1年以上2年未満7日
2年以上5年未満8日(+1日/年)
8年以上14日

日本の法定10日(入社6ヶ月後)と比べると少なく見えるが、シンガポールのオフィスワーカーは契約で14〜21日を付与されているケースが多い。「契約書に書かれた日数」と「法定最低日数」は別物であることを理解したい。

残業代と労働時間

Part IV適用者(月収SGD 2,600以下)の場合、以下の上限と残業代規定がある。

  • 週44時間が通常労働時間の上限
  • 残業代: 通常時給の1.5倍(週44時間超の時間)
  • 日曜・祝日出勤: 通常時給の2倍

Part IV適用外の従業員については法的な残業代規定はなく、雇用契約に依存する。

解雇と通知期間

解雇(Termination)の最低通知期間は雇用年数によって異なる。

勤続年数最低通知期間
26週未満1日
26週以上2年未満1週間
2年以上5年未満2週間
5年以上4週間

不当解雇(Wrongful Dismissal)の場合、Employment Claims Tribunals(ECT)に申し立てができる。申し立て期間は解雇後1ヶ月以内。

MOM(労働省)への苦情申立

給与未払い、不当解雇、Employment Act違反などがあれば、MOM(Ministry of Manpower)のオンラインポータルから申し立てができる。

  • 給与未払い: MOMのSalary Claim制度で申立可能。弁護士不要
  • 申立上限額: SGD 20,000(2,300,000円)まで
  • 処理期間: 概ね2〜4週間

英語対応のみだが、手続き自体は比較的シンプルだ。「泣き寝入り」は損だ。問題があれば早めに動く方がいい。

現地採用で働く前に確認すること

雇用契約書に目を通す際、以下の点を必ずチェックしたい。

  • 給与の支払日・方法
  • 残業・時間外労働の規定(または「なし」の明記)
  • 解雇通知期間
  • 試用期間(Probation Period)の条件
  • Non-Compete条項(競業避止義務)の有無

「日本と同じだろう」という前提で読み飛ばすと後悔することがある。契約書は全部読むのが基本だ。

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