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シンガポールで老後を迎える外国人——医療・住居・ビザの現実

シンガポールで定年後も暮らし続けたい外国人が直面する、ビザ・医療費・住居費の現実を解説。CPF非加入の外国人には公的年金がなく、老後設計は完全に自己責任になる。

2026-04-26
老後退職医療ビザ長期滞在シニア

この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

シンガポールで働いてきた外国人が65歳を迎えると、一つの問題が浮かび上がる。「このまま住み続けられるのか?」という問いだ。

答えは「難しいが、不可能ではない」。ただし、その「難しさ」の中身を把握しておかないと、老後設計が根本から崩れる。

ビザの壁——就労ビザ依存からの脱却

多くの在住外国人はEmployment Pass(EP)かS Passで滞在している。これは雇用に紐づくビザで、仕事を辞めたら自動的に失効する。

退職後に残れるビザとして現実的な選択肢はいくつかある。

Dependant Pass(DP)——子ども・配偶者のビザに付帯
EP保持者の子どもや配偶者として残れるが、逆にいえば「子どもがシンガポールで働いている」前提になる。

Personalised Employment Pass(PEP)
高スキル外国人向けの特殊なビザで、雇用主から独立している。ただし発行条件が厳しく(直近の年収がSGD 22,500/月以上など)、維持には就労継続が必要。

Long Term Visit Pass(LTVP)
シンガポール市民・永住権者(PR)の家族向け。シンガポール人と結婚しているなら最も安定した選択肢だ。

Retirement Pass(退職ビザ)は存在しない
マレーシアには「MM2H」、タイには「リタイアメントビザ」がある。シンガポールにはそれに相当するビザが存在しない。この一点が、シンガポールでの老後設計を他国より複雑にしている。

医療費——公的保険がない外国人の現実

シンガポール市民・PRはMediShieldという公的医療保険があり、高額医療でもカバーされる。永住権を持たない外国人はこの対象外だ。

外国人向けにはIntegrated Shield Plan(民間医療保険)があるが、加入は原則的に健康な状態でしか認められない。

年齢別の保険料目安(参考値):

年齢民間医療保険 年間保険料目安(SGD)
40代2,000〜4,000
50代4,000〜8,000
60代8,000〜20,000+

60代後半になると保険料が月SGD 1,500〜2,000(172,500〜230,000円)を超えることもある。公立病院外来は外国人でも受診できるが、市民より割高な料金体系(約3倍)が適用される。

住居費——恒久的な「所有」の限界

コンドミニアムを購入した外国人でも、99年リースホールドの物件が多い。資産として残すには限界がある。

賃貸で暮らす場合、シニア向けの特別な住宅制度はない。市場価格で借り続けるしかなく、2LDK・プール付きコンドで月SGD 4,000〜6,000(460,000〜690,000円)は必要だ。

CPF——加入できなかった外国人の老後

シンガポール市民とPRには強制貯蓄制度「CPF」がある。退職後の医療費・住居費を賄う仕組みだ。一般的な就労ビザの外国人はCPFに加入できないため、老後の積み立ては全て自己責任になる。

長く住めばそれだけリスクが蓄積する、というのがシンガポールの外国人老後問題の本質だ。

現実的な選択肢

シンガポールで老後を過ごしたい外国人の現実的な戦略は、「シンガポール人と結婚してLTVPを取る」か「PRを取得してCPFに加入する」か「早めに日本か第三国へ移る」の三択に近い。

セカンドオピニオンが欲しいなら、シンガポール在住の日系ファイナンシャルプランナーに相談する選択肢もある。老後の話は早めに動いた方が選択肢が多い。

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