GrabとタクシーとMRT——シンガポールの移動コスト最適化を本気で考える
シンガポールの移動手段はGrab・タクシー・MRT・バスから選べる。それぞれの価格と場面による使い分けを整理し、月の交通費がどう変わるかを具体的に計算する。
この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
シンガポールで車を持たない選択をしたとき、移動手段はGrab・タクシー・MRT・バスの組み合わせになる。どれをどの場面で使うかで、月の交通費は倍以上変わる。
MRT・バスが最も安い
公共交通の中核はMRT(鉄道)とバスだ。距離に応じた課金で、通常の市内移動はSGD 0.8〜2.5(92〜288円)程度で済む。EZ-Linkカードにチャージして使うか、クレジットカードをタッチして使う。
月に100回以上乗るような生活をしていても、交通費はSGD 100〜150(11,500〜17,250円)程度に抑えられる(推定・距離による)。これが最も安い選択肢だ。
ただし、MRTとバスのカバー範囲に限界はある。住宅地の奥やビジネスパークが多い地区では「最寄り駅から徒歩20分」というケースもあり、最後の1kmにGrabを使う「ラストマイル問題」が発生する。
GrabとタクシーのSurge問題
Grabの基本料金は、市内の短距離でSGD 7〜12程度。雨が降り始めた瞬間や出勤・退勤のピーク時間帯には「サージ(需要増加)」が発生し、同じ距離で2〜3倍の価格になることがある。
「雨が降ったら3倍」という経験は、シンガポールの在住者全員が持っている。「傘を持っていかなかった朝に限って午後スコールが来る」という状況でのGrab費用は、月の交通費計算を狂わせる要素だ。
タクシーはGrabと価格が近いが、乗り場での待機が必要で捕まりにくい時間帯がある。深夜料金の加算があるため夜間はGrabより高くなる場面も多い。
月の交通費の試算
MRT中心の生活:徒歩またはバスで最寄り駅まで行ける住まいを選んだ場合、月のMRT+バス代はSGD 80〜120。Grabを週に2〜3回使うと+SGD 60〜100。合計SGD 140〜220(16,100〜25,300円)程度。
Grab多用の生活:住まいから最寄り駅まで遠い、または天候・荷物の関係でGrabを毎日使う場合、月のGrab代だけでSGD 300〜500(34,500〜57,500円)になることもある。
この差は、住む場所の選択と直結する。「家賃が安い駅遠物件」でGrabを毎日使うと、差額が消えることは珍しくない。
Grabを安く使うコツ
Grab経済圏には複数の選択肢がある。「GrabCar」が標準だが、「GrabShare(相乗り)」を選べば20〜30%安くなることが多い。また、GrabのサブスクリプションサービスはGrabCar利用が多い人にとって月コストを下げられる可能性がある。
ピーク時を避けて乗る、少し歩いてMRT駅まで行く——こうした小さな選択の積み重ねが、シンガポールの交通費管理の実質的な節約術になる。