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住まい・不動産

外国人はHDBを買えない——シンガポール公共住宅の購入ルールと中古市場の高騰

シンガポールの公共住宅HDBの購入資格ルールと、外国人が買えない理由を解説。近年の中古市場価格高騰の背景と、外国人が住む現実的な選択肢についてもまとめた。

2026-04-14
HDB住宅不動産外国人購入

この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

「シンガポールで家を買いたい」と思ったとき、最初に当たる壁がHDBの購入資格だ。人口の約80%がHDB(Housing & Development Board)が供給する公共住宅に住んでいるが、外国人はこれを買えない。理由と現実的な選択肢を整理する。

HDBとは何か

HDBはシンガポール政府が1960年代から建設・分譲してきた公共住宅だ。日本の公営住宅と異なり、居住者が所有できる(分譲マンション型)。99年間の定期借地権付きで、一般的に「HDBを買う」という表現が使われる。

シンガポール国民の住宅政策の根幹を担ってきた制度で、CPF(中央積立金)の積立金を頭金・住宅ローン返済に充てる仕組みと連動している。市場価格より安い「新築HDB(BTO)」と、市場価格で取引される「中古HDB(Resale)」がある。

外国人が購入できない理由

外国人(Employment Pass・S Pass・就労ビザ保有者、観光・学生ビザ等)はHDBreの購入が原則禁止されている。

制度設計の背景にある考え方は、HDBが「シンガポール国民のための住宅保障」という位置づけだからだ。CPFとセットで機能する制度であり、CPFに加入できない外国人は制度の恩恵を受けられないという論理も成り立つ。

永住権(PR)を取得した場合、単身では購入できないが、シンガポール市民の配偶者と共同で中古HDB(Resale)を購入することが可能になる。PR2人のカップルは購入できないため、PRにとっても制約がある。

なお、コンドミニアム(民間マンション)は外国人でも購入できる。ただし外国人には「追加印紙税(ABSD)」が購入価格の60%(2023年4月以降)かかる。これが外国人の不動産投資を大幅に制限している要因だ。

中古HDB市場の価格高騰

近年の中古HDB(Resale HDB)の価格高騰は社会問題になっている。

価格の目安(2025〜2026年時点):

エリア・タイプ中古価格目安
市街地近く(4ルーム)600,000〜900,000SGD(6,900〜10,350万円)
中間エリア(4ルーム)450,000〜650,000SGD(5,175〜7,475万円)
郊外(4ルーム)350,000〜500,000SGD(4,025〜5,750万円)

2020〜2023年にかけて価格は急上昇した。コロナ禍での建設遅延により新築BTOの供給が滞り、中古市場への需要が集中した。加えて、金融業・テック業界のPR・市民が高値でも購入を急いだことも価格を押し上げた。

「100万SGD(約1.15億円)を超えるHDB」も複数出てきており、かつての「庶民の住宅」というイメージとは乖離し始めている。

外国人が住む現実的な選択肢

外国人はHDBの購入ができないが、賃貸は可能だ。

HDB賃貸(Subletting): 市民・PRから部屋または住戸全体を借りる形。家賃は郊外エリアで月2,000〜3,000SGD(23〜34.5万円)程度(2LDK相当)が目安。HDBは広さのわりに価格が安い傾向がある。

コンドミニアム賃貸: プール・ジム付きの民間マンション。家賃は月3,500〜8,000SGD以上(40〜92万円以上)が目安。駐在員の多くはここを選択する。エリアと設備によって幅が大きい。

サービスアパートメント: 家具・家電・管理サービス付き。月単位での契約が可能で、赴任直後や短期派遣に使われることが多い。コンドミニアムより割高だが手間が少ない。

PRになれば変わること

シンガポールのPR取得フローと審査基準にも書いているが、PRになることで市民との共同購入という選択肢が生まれる。ただし実際に購入するまでには最低3年のHDB所有制限(MOP:Minimum Occupation Period)もある。

長期的にシンガポールに定着するつもりなら、PR申請と住宅購入の計画を同時に考えることになる。PR取得後すぐに買える状況でなければ、賃貸で数年過ごしながらタイミングを見る形になる。

在住者が感じる住宅事情の変化

「シンガポールは物価が高い」という認識は今に始まったことではないが、住宅費の上昇は実感として大きい。3〜4年前に2,500SGDで借りていたコンドミニアムが今は4,000SGDになった、という話は珍しくない。

駐在員の住宅手当が家賃上昇に追いついていないケースも出てきており、「昔の感覚で予算を組んでいた会社が実態とずれている」という声もある。赴任前に現在の相場を確認し、住宅手当の見直し交渉をするかどうか判断する材料にしてほしい。

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