シンガポールHDB改装文化——中古HDB購入後に100万円超のリノベが当たり前の世界
シンガポールでHDBを購入すると、多くの場合100〜300万円規模のリノベーションが発生する。ID(インテリアデザイナー)文化・改装費相場・外国人が知るべきHDBリノベの現実を解説。
この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。
シンガポールでHDB(公共住宅)の中古物件を買うと、「そのまま住む」という選択はほぼない。多くの人が購入後に大規模なリノベーション(リノベ)を行う。
なぜか。それがシンガポールの「HDB文化」だからだ。
リノベが当たり前な理由
シンガポールのHDBはBTOで新築購入するか、HDB転売市場(Resale Market)で中古を購入するかの2択だ。
中古HDBは前のオーナーの内装がそのまま残っている。タイル・壁紙・扉・水回り——すべてが前オーナーの趣味で作られた状態だ。「その状態で住み続ける」という選択をする人が少ない。
加えて、シンガポールでは住居のインテリアが社会的なステータスを示す側面があり、SNSで自宅を公開する文化もある。「いい家に住んでいる」ことの証明として、改装に投資する動機が生まれる。
ID(インテリアデザイナー)産業
リノベを頼む相手がID(Interior Designer)またはID会社だ。シンガポールではIDが日常的な存在で、HDBを買ったらIDを探すのが当然のフローになっている。
HDB 4ルーム(約90㎡)のフルリノベ費用の目安:
- エコノミークラス(機能重視): 40,000〜60,000SGD(460万〜690万円)
- ミドルクラス: 60,000〜100,000SGD(690万〜1,150万円)
- ハイエンド: 100,000SGD以上(1,150万円以上)
100万円以下でリノベが終わる日本のリフォームと比べると、スケールが違う。
外国人(PR・非市民)はHDBを買えるか
非市民(EP保持者等)はHDBを購入できない。市民(SC)またはPR+SCのカップルのみが購入対象だ。
PRのみの夫婦はHDB転売市場での購入に制限がある(一部緩和措置あり)。非市民のEP保持者はコンドミニアム(民間住宅)に限定される。
この制限が在住外国人にとってHDBリノベ文化を「他人事」にしている側面はあるが、コンドミニアムでも同様のリノベ文化が広がっている。
コンドミニアムのリノベ
外国人が多く住むコンドミニアムも、入居時に自前で内装を変える人は多い。賃貸コンドの場合は原状回復義務があるため、貼って剥がせる壁紙・家具の工夫程度になるが、購入した場合はHDB同様のリノベが発生する。
シンガポールのID会社・リノベ業者はインスタ・Houzz等で多数の施工例を公開しており、「自分の家をどうしたいか」のイメージ作りはオンラインで大量に参照できる。
「家を買う=リノベ費用も予算に入れる」——シンガポールの住宅購入を検討する場合、この当たり前を知っておかないと購入後に予算不足が起きる。