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HDB中古市場の実態——100万SGDを超えるHDB、何が起きているのか

シンガポールのHDB(公共住宅)中古市場が高騰しています。なぜ公共住宅が1億円超えになるのか、在住者・PR取得者の視点で背景と現実を解説します。

2026-04-14
HDB住宅不動産PRシンガポール

この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

「公共住宅が1億円」——この事実は、初めて聞く人には違和感があるはずです。シンガポールのHDB(Housing Development Board)フラットは国民の約80%が居住する公共住宅ですが、中古市場では100万SGD(約1億1,500万円)超えの取引が珍しくなくなっています。

HDB resaleの価格水準

シンガポール国土庁(HDB)のデータによると、2024年のHDB中古取引件数は約27,000件超。そのうち100万SGD以上の取引は919件で、初めて年間900件を超えました(出典: HDB, 2024 Resale Statistics)。

5部屋タイプ(4LDK相当)の中央値取引価格は2024年時点で約72万SGD(約8,280万円)。トアパヨ、ビシャン、クレメンティなど利便性の高いエリアはさらに高い傾向があります。

一方で、チョア・チュー・カンやパンゴルといった外縁部では4部屋タイプが40万〜50万SGD台で取引されています。エリア格差が大きく、「HDB」という一括りでは語れない状況です。

なぜここまで上がったのか

主な要因は2つです。

需要の増加: 2021〜2022年のコロナ禍でBTO(新規公共住宅建設プログラム)の供給が遅延しました。新築を待てない市民がresale市場に流入し、競争が激化しました。

立地プレミアム: 都心近くのHDB(タンジョンパガー、ピナクル@ダクストン等)は、民間コンドミニアムに近い利便性を持ちながら「HDB価格」で買える——という認識が消えました。ピナクル@ダクストンの5部屋タイプは2024年に140万SGD超で取引された事例があります。

政府は2021〜2023年にかけて複数回の冷却措置(追加印紙税の引き上げなど)を導入しましたが、価格上昇の勢いは完全には止まっていません。

外国人・PR・市民の購入資格

重要なのは、HDB中古市場を買えるのは誰か、という点です。

  • シンガポール市民: 新築(BTO)・中古(resale)どちらも購入可
  • PR(永住権保持者): 中古(resale)のみ購入可。市民家族がいれば一部条件が変わる
  • 外国人(EP等): 原則購入不可。Sentosa Coveの特定物件など例外あり

つまり、EPホルダーの在住日本人はHDBを購入できません。コンドミニアムや民間賃貸が選択肢になります。PR取得後に初めてHDB resale市場に参入できる構造です。

PR取得後の住宅戦略

PRを取得した日本人の場合、選択肢はざっくり3つです。

  1. HDB resale購入: CPF残高を頭金に使える。立地次第で40〜100万SGDの幅
  2. 民間コンドミニアム購入: 外国人でも購入可。ただし追加印紙税(ABSD)が60%(外国人の場合)と非常に高い。PRでも5%
  3. 賃貸継続: 長期在住でも賃貸という選択は珍しくない。流動性を保てる

5〜10年の在住を見据えてシンガポール定住を考えているなら、HDB resale市場は選択肢の一つに入ります。ただし「公共住宅だから安い」という先入観は、現在の市場では通用しません。購入前に複数のHDB物件を比較し、最低賃借期間(MOP: 5年)の縛りも含めて検討する価値があります。

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