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生活費・物価

2024年以降のシンガポールインフレと生活費圧迫の現実

2022年以降続くシンガポールの高インフレ。GST引き上げ・住居費急騰・食料品値上がりが在住者の生活をどう変えたか。数字と体感の両面から整理します。

2026-04-20
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この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

「シンガポールは高い」は今に始まった話ではない。ただ2022年以降の話は少し種類が違う。もともと高かったところに、さらに値上がりが重なった。

シンガポール統計局のデータによると、消費者物価指数(CPI)は2022年に前年比6.1%上昇、2023年に4.8%上昇した。ピークこそ過ぎたが、体感ではコスト圧迫が続いている在住者も多い。

GSTが9%になった影響

2024年1月1日、シンガポールの消費税(GST)は8%から9%に引き上げられた。2023年1月の7%→8%からの2段階引き上げの最終段階だ。2019年時点の7%と比べると、2ポイントの上乗せになる。

日常の買い物ではGST込み価格が表示されることが多いため、気づきにくい。でもレストランの伝票を見ると、サービスチャージ10%とGST9%が合計19%かかっているケースもある。料理SGD 30(約3,450円)の食事が実質SGD 35.7(約4,105円)になる計算だ。

家賃の急騰と落ち着き

2021〜2023年の家賃上昇は特に激しかった。この期間、シンガポールのコンドミニアムの賃料は2年間で30〜50%上昇したエリアもある。

背景はいくつかある。コロナ禍に抑圧されていた外国人就労者の流入再開、新規住宅供給の遅れ、海外からの移住需要の増加。特にアメリカや欧州の金融機関がアジア拠点を移した時期と重なり、高所得者層の家賃が一気に跳ね上がった。

2024年以降は若干落ち着いてきた。新規コンドミニアムの完成が増え、需要と供給のバランスが改善しつつある。とはいえ、2019年比では依然として高い水準にある。

現状の目安として、オーチャード・ノベナ・ブキティマ周辺の1ベッドルームコンドミニアムは月SGD 3,500〜5,000(約40〜57.5万円)程度。家族向け2〜3ベッドルームは月SGD 5,500〜8,000(約63〜92万円)が多い。

食料品・ホーカーの値上がり

ホーカーセンターは長らく「シンガポールで唯一価格が安いもの」として機能してきた。その状況が変わりつつある。

2019年時点でチキンライスがSGD 3〜4だったのが、2024年には5〜6が標準になってきた。背景には食材費・電気代・ガス代の上昇がある。政府が補助金を出してホーカー価格の上昇を抑える施策もあるが、徐々に限界が来ている感触がある。

スーパーの食料品も同様だ。コールドストレージやFairpriceでの週次買い出しの金額が、以前より明確に増えた。在住者の間でも「ジョホールバルまで食料品を買いに行く」という選択肢を取り始めた人が出てきた。RTS(Johor-Singapore Rapid Transit System)の開業予定(2026年末〜2027年)が近づくにつれ、この越境買い物はさらに増えると見られる。

在住者の適応

給与が物価上昇に追いついているかどうかが、体感の差を生んでいる。

現地採用でシンガポールドル建ての給与をもらっている場合、インフレの影響をより直接に受ける。一方、日本本社からの駐在員は住宅手当が会社負担であることが多く、生活費のうち最も高い項目を個人では負担しない。

「シンガポールが高い」という話をするとき、その人がどのポジションにいるかによって体験は全く変わる。この非対称性も、シンガポールのインフレ話を複雑にしている一因だ。

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