週末はJBへ——コーズウェイを渡るシンガポール人の「脱出」を在住者目線で読む
シンガポール人の週末の選択肢として、マレーシア・ジョホールバルへの越境が定番化している。食費・生活費がシンガポールの数分の一になる隣国との生活格差と、その使い方。
この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
土曜の朝7時、ウッドランズ・チェックポイントに長い行列ができている。車、バイク、徒歩の人たち——全員がコーズウェイを渡ってジョホールバル(JB)へ向かおうとしている。
週末のJBはシンガポールの延長線上にある。シンガポールドルを持ちながら、リンギットの物価で食事し、買い物し、散髪し、マッサージを受ける。
なぜ行くのか
経済的な動機は明確だ。1SGDが約3.2MYR(推定・為替変動あり)で交換できるため、シンガポールで10ドルかかるものが、JBでは3〜4ドル相当で手に入る場面が多い。
外食費がその典型で、シンガポールでSGD 15のランチがJBではMYR 15(約SGD 4.7)で済むことがある。週末に家族でJBへ渡り食事と買い物を済ませてシンガポールに戻ることで、1回の外出で数千円単位のコスト差が生まれる。
ガソリンもJBでの方が安いため、車でコーズウェイを渡って満タンにして帰るシンガポール人は珍しくない(シンガポール政府はこれを制限しており、一定量以上はシンガポール側で補充する義務がある)。
JBで何ができるか
食事:シーフードレストランや地元コーヒーショップが手頃な価格で楽しめる。特にシンガポールでは高いシーフード類(カニ・エビ)が格段に安い。
ショッピング:Mid ValleyやAEON(イオン)系のモールがあり、日用品・衣類・電化製品がシンガポールより安い場合がある。
散髪・美容:ヘアカットがシンガポールの半額以下になることが多い。美容院・マッサージ・ネイルが在住日本人の間でも人気。
車の修理:シンガポールの工場より修理費が安いため、週末に車をJBのガレージに持っていく人もいる。
混雑と時間コスト
コーズウェイの渋滞は現実的な問題だ。金曜夜・土曜朝・日曜夕方は特に長蛇の列になる。往復で2〜4時間かかることも珍しくなく、「安さとの天秤」を意識する必要がある。
MRTのジョホールバル・セントラル(JB Sentral)駅とシンガポール側のウッドランズ北駅を結ぶRTS Link(Rapid Transit System)が開業すると、鉄道での越境が可能になり混雑緩和が期待されている。
在住外国人とJB
シンガポールに住む外国人がJBを活用するパターンも増えている。日本人の場合、JBでの日本食材の購入(イオンモール)、マッサージ・美容院通いが定番の使い方だ。
「週末は国をまたぐ」という感覚が自然になってくると、シンガポールの生活費を実質的に引き下げる手段としてJBが日常に組み込まれる。コーズウェイを渡ることのハードルが、住んでいると想定より低いと感じる在住者は多い。