シンガポールのMRT・バス完全ガイド——EZ-Linkカードの使い方と通勤攻略
シンガポールのMRT6路線の概要、EZ-LinkカードとSimplyGoの違い、バスとの乗り継ぎ割引、月120SGDキャップ制度まで。在住者・旅行者向けに公共交通を使い倒す方法を解説。
この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。
シンガポールの公共交通は、東南アジアの中でも突出して整備されている。MRTとバスを組み合わせれば島内のほぼどこにでも行ける。ただし乗り方のルールを知らないと損をする部分もある。
MRT6路線の概要
2026年時点でシンガポールには6本のMRT路線がある。
| 路線名 | 色 | 主要駅・区間 |
|---|---|---|
| North South Line(NSL) | 赤 | Jurong East〜Marina South Pier。ビジネス街(Raffles Place)を縦断 |
| East West Line(EWL) | 緑 | Tuas〜Pasir Ris。空港(Changi)へのブランチあり |
| North East Line(NEL) | 紫 | HarbourFront〜Punggol。チャイナタウン・リトルインディアを通る |
| Circle Line(CCL) | 橙 | 環状線。ビサン〜ドビーゴートをぐるっと回る |
| Downtown Line(DTL) | 青 | Bukit Panjang〜Expo。ブギスや市街地を通る |
| Thomson-East Coast Line(TEL) | 茶 | Woodlands〜Sungei Bedok。市内北部・東海岸方面 |
路線数が増え、地下鉄網はかなり網羅的になっている。ただし西部(Jurong周辺)や一部の住宅街はバスなしでは完結しないエリアもある。
EZ-Linkカードの基本
EZ-Linkカードはシンガポールの交通系ICカード。MRT・バス・一部タクシーで使える。
購入場所:MRT駅の有人窓口やTransit Link機で購入可能。カード代7SGD(デポジット含む)、チャージ残高は好きな額で追加できる。
タッチ方式はシンプルで、改札の黄色い読み取り部にカードをタッチ。バスは乗車時・降車時の両方でタッチが必要だ。降車タッチを忘れると最高運賃が引かれる(よくある失敗)。
残高はアプリ(EZ-Link App)やMRT改札横の端末で確認できる。残高が0円になると改札で止まるので、定期的にチャージしておく。
EZ-LinkとSIMリンク(SimplyGo)の違い
2023年以降、SIMリンク(SimplyGo)への移行が進んでいる。SimplyGoは銀行カードやクレジットカードをそのまま交通カードとして使う仕組みだ。
| 比較項目 | EZ-Link | SimplyGo(クレカ等) |
|---|---|---|
| カード費用 | 7SGD(デポジット) | なし(既存カード使用) |
| 残高管理 | 手動チャージ | 自動引き落とし |
| リアルタイム残高確認 | 改札・アプリで可能 | やや遅延あり |
| 月間キャップ適用 | 対象 | 対象 |
在住者で長期使用するなら、SimplyGoに移行すると残高チャージの手間がなくなる。ただし「残高が足りなくて改札で止まる」ことがないという安心感を優先するなら、EZ-Linkのままでも問題ない。
旅行者・短期滞在者には、EZ-Linkカードのほうがシンプルで使いやすい。
バスとMRTの乗り継ぎ割引
シンガポールの公共交通には「Integrated Fare System(統合運賃システム)」がある。乗り継ぎをすると割引が適用される仕組みだ。
ルール:同一方向への移動で、乗り継ぎを45分以内に行うと割引運賃が適用される。例えばバスに乗ってMRTに乗り換えた場合、合計距離に基づいた1つの運賃として計算される。
具体例:バス→MRT乗り継ぎで、合計移動距離10km程度なら1.5〜1.8SGD(170〜210円)程度。同じ距離をバス2本乗り継ぎで行くよりも安くなるケースが多い。
この割引を使うためには、バス降車時のタッチが必須。乗車タッチだけして降車タッチを忘れると割引が適用されない。
月120SGDキャップ制度
在住者が知っておくべき月間キャップ制度がある。
Monthly Travel Pass: 過去2年以上、同一カードでMRTやバスを使い続けている利用者は、月間120SGD(約13,800円)を上限に使うと、それ以上は無料になる優遇がある(要確認:条件・実施状況はLTA公式サイトで最新情報を確認のこと)。
通勤で毎日公共交通を使うと月100〜150SGD程度になることが多い。キャップを超えると実質無料になるため、月の後半に「もう無料になったから気にせず使える」という状況が生まれる。
出張が多い月、旅行で数日いない月はキャップに達しないこともある。あくまで一般的な通勤者向けの話だ。
Grab vs 公共交通のコスト比較
シンガポールに来たばかりの人がよく使うのがGrab(ライドシェア)だ。英語で行先を説明しなくて済む便利さがある。ただしコストは大きく違う。
| 移動パターン | 公共交通 | Grab目安 |
|---|---|---|
| 市内中心部(5km程度) | 1.2〜1.5SGD | 8〜15SGD |
| 郊外〜市内(15〜20km) | 1.8〜2.2SGD | 20〜35SGD |
| 空港〜市内(Changi→Orchard) | 2.2SGD前後 | 25〜40SGD |
空港からのアクセスは、MRT(East West Line)が圧倒的に安い。Changi Airport駅からOrchardまで約35分、2SGD前後だ。ただし大荷物のときやラッシュ時は快適性でGrabに軍配が上がる。
日常の通勤をGrabに頼ると月の交通費が10倍以上になりうる。特に日本から来たばかりで公共交通に慣れていない人は、早めにMRT・バスを使い始めることを勧める。
通勤ラッシュの現実
シンガポールのラッシュは朝7:30〜9:00、夕方17:30〜19:30が最も混む。特にNorth South Line(赤線)とEast West Line(緑線)のCentral Biz Districtに近い駅(Raffles Place、City Hall、Tanjong Pagar等)は東京並みの混雑になる。
混雑回避のオフピーク割引も存在する:平日朝7:45以前にオフピーク指定駅でMRTに乗ると、割引が適用される(MRT改札の電光掲示で確認可能)。在宅勤務と組み合わせながらオフピーク利用できると交通費をさらに抑えられる。
実用的なアプリ
- SG BusArrival / Moovit / Google Maps: バスの到着時刻・乗り継ぎルートの確認に使える。リアルタイム情報が取れるので、バス停で次のバスが何分後かわかる
- EZ-Link App: 残高確認・チャージ履歴の確認
- Grab: 公共交通が不便なエリアや深夜移動用に持っておく
バスの路線番号は慣れれば覚えられるが、最初はGoogle Mapsで経路検索するのが最も楽だ。目的地を入力すると、乗るべきバス番号・乗り換え・所要時間が出てくる。