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社会・経済の仕組み

ナイトサファリの経済学——世界初の夜行性動物園が稼ぎ続ける構造

シンガポールのナイトサファリが観光業として成立する仕組みを分析。入場料・客単価・年間来場者数の規模感、昼と夜でターゲットを分ける動物園グループの戦略。

2026-04-12
ナイトサファリ観光シンガポールマンダイエコノミクスビジネス

この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

世界初の夜行性動物園として1994年に開園したシンガポールのナイトサファリは、30年以上経った今も観光の定番だ。

「夜にしか来られない」という制約が、逆に希少性を生んでいる。

基本データ

ナイトサファリはマンダイ野生生物保護区(旧称:シンガポール動物園群)の一施設だ。同保護区にはシンガポール動物園・バードパラダイス・リバーワンダーズが集まっており、複数施設でパッケージチケットを販売している。

ナイトサファリ単体の入場料(2024〜25年時点):

  • 大人:SGD 55(約6,325円)
  • 子ども(3〜12歳):SGD 38(約4,370円)

Mandai Wildlife Reserveとしてのパッケージ(2施設・3施設等)もあり、訪問形態によって単価が変わる。

年間来場者数と収益規模

Mandai Wildlife Groupの発表では、コロナ前(2019年)の全施設合計来場者数は約400万人超。ナイトサファリ単体でも年間100万人規模の来場者がいたとされる。

仮に100万人×平均SGD 55と計算すると、チケット収入だけでSGD 5,500万(約63億円)になる。実際にはパッケージ・レストラン・グッズ等も収益源だ。

「夜専用」という制約が強みになる

ナイトサファリは19時30分〜24時の営業で、昼間は一般に開放されない。この制約は運営コストを下げる(昼間のスタッフ・設備管理が不要)と同時に、「夜行性動物を夜に見る」という他施設では得られない体験を生み出している。

昼のシンガポール動物園・夜のナイトサファリという棲み分けは、同じ施設グループ内で客単価を二重に取る設計でもある。

トラム vs 徒歩ルート

施設内の移動はトラム(無料)と徒歩ウォーキングトレイルの両方が選べる。トラムのコメンタリー(英語・中国語)が観光客向けで、徒歩は動物に近づける体験が得られる。

混雑する夜の動線設計として、トラムが観光客を分散させる機能も果たしている。

コロナ後の戦略変化

コロナ禍で来場者が激減した後、Mandai Wildlife GroupはFireflies Glamping(施設内グランピング)等の宿泊体験を導入し始めた。

「来て帰る」から「泊まる」への転換で、1人あたりの単価を上げる試みだ。

在住者の利用実態

シンガポール在住者向けには市民・PR向けの割引価格がある。入場料の数百円〜1,000円程度の割引だが、年パスがコスパ面で選ばれることも多い。

観光客が多い夜に行くのは混雑しやすいため、平日の利用を好む在住者も少なくない。

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