シンガポールで資金調達するスタートアップの現実——EDB・Enterprise SGの支援と限界
シンガポールには政府系の資金調達支援機関が複数ある。EDB・Enterprise SGのプログラムと、VC・エンジェルの実態。外国人起業家がシンガポールで事業を立ち上げるために知っておくべきことを整理する。
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「シンガポールで起業すれば政府の補助金がもらえる」という話を聞いた人は多い。半分は本当で、半分は誤解だ。
シンガポールには確かに多くの政府系支援制度がある。ただし、全員が簡単に受け取れるものではなく、対象・条件・审査がある。
主な政府支援機関
**EDB(Economic Development Board)**はシンガポールへの外国投資を誘致する機関で、大企業や成長企業の進出支援が中心だ。スタートアップが直接EDBから補助金をもらう構図は一般的ではない。
**Enterprise Singapore(EnterpriseSG)**はシンガポール系中小・スタートアップ向けの支援機関で、補助金・融資保証・市場開拓支援を提供する。代表的なプログラムに「Startup SG」シリーズがあり、シード資金のマッチング(政府が民間投資に対して一定割合を追加投資)などが含まれる。
**NRF(National Research Foundation)**はディープテック・研究開発系スタートアップ向けの資金支援を行う。バイオテック・AIなどの分野が主な対象だ。
外国人起業家の条件
外国人がシンガポールで起業する場合、EntrePass(起業家ビザ)を取得する必要がある。条件は、シンガポールに登記した会社に一定の持分を持ち、革新的または創造的な事業であること(政府の審査基準による)。
EntrePassの申請には事業計画書の提出が必要で、単純なサービス業(飲食・小売など)は基本的に非対象だ。テック・IP(知的財産)・製品開発を伴う事業が対象となりやすい。
VCとエンジェルの現実
シンガポールのベンチャーキャピタル環境は東南アジア最大規模とされる。Sequoia・Andreessen Horowitz系のファンドのアジア拠点、地場VC(Wavemaker Partners・Vertex Holdings等)が存在し、プレシードからシリーズB以上まで対応できる。
ただし2022年以降の世界的な金利上昇でVC投資は冷え込んでおり、バリュエーションの調整が続いている。「シンガポールに来ればすぐ調達できる」という状況ではない。
実際のエコシステム感
Block71(シンガポール国立大学のインキュベーター)周辺に入居するスタートアップや、Oneノース地区のバイオポリス・フュージョンポリスに集まる研究開発系スタートアップが、エコシステムの中核を形成している。
コワーキングスペース・メンタリング・他のスタートアップとのつながりは、物理的に集まることで得られやすい。在住してネットワークを作ることが、資金調達よりも先に必要なステップだという感覚は、多くのシンガポール在住起業家が共有している。