シンガポールの交通費——MRT・バス・タクシー・Grabの実態と車を持たない生活
シンガポールの交通費を解説。MRT・バスの料金体系・EZLinkカード・Grabの料金感・タクシーとの違い、車を持たなくても生活できる理由と車保有コストの異常な高さ。
この記事の日本円換算は、1SGD≒115円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。
シンガポールでは「車を持たなくても生活できる」と多くの在住者が言う。実際、そうした生活をしている人の方が多い。
同時に、「車を持とうとすると日本の3〜5倍のコストがかかる」国でもある。
MRT・バスの料金体系
シンガポールの公共交通はLTA(陸上交通庁)が統括し、SBS Transit・SMRT等が運行する。
EZLinkカード(Suicaに相当)で乗るとディスカウントが適用される。距離制の料金体系で、短距離はSGD 0.77〜1.10程度、長距離でも最大SGD 2.50程度だ。
月の交通費は利用頻度・移動距離によるが、一般的な生活圏内での通勤・通学なら月SGD 80〜150(約9,200〜17,250円)程度が目安だ。
EZLinkカードとSimplyGo
交通カードは「EZLink」「NETS FlashPay」「SimplyGo(クレカ・デビットカード直結)」の3方式が使える。
外国人はSimplyGo(マスターカード・ビザのタッチ決済)が最も手軽で、カードを購入する必要がない。一方で残額・利用履歴の確認がしにくい場合があるため、頻繁に使う人はEZLinkカードを持つ選択肢もある。
Grab
GrabはGoogleマップと同じくらいの頻度でシンガポール人に使われる配車アプリだ。
料金目安(市内・短中距離):
- 2〜3km圏内:SGD 8〜15
- 10km程度:SGD 15〜25
- 混雑・雨天時にサージプライシング(割増料金)が発生する
タクシーとほぼ同じか、サージ時はGrabの方が高くなることもある。コンビニ感覚で使える手軽さが利点だ。
タクシー
Grabアプリ内でのタクシー予約も可能だが、街頭でのタクシー流し(フラッグダウン)も有効だ。
夜間・雨天・ピーク時にはサーチャージが加算される仕組みがある。空港から市内へのタクシーは、MRTの5〜8倍のコストになることが多い(SGD 20〜40程度)。
車保有コストの異常さ
シンガポールで車を持つためには、COE(Certificate of Entitlement:使用許可証)の入札が必要だ。
2024〜2025年のCOEの落札価格は概ね1枚SGD 90,000〜110,000(約1,035万〜1,265万円)前後で推移している。これに車両価格・登録費・保険を加えると、1,500cc以下の普通車でも総コストはSGD 150,000〜200,000(約1,725万〜2,300万円)になることも珍しくない。
その上、年間の道路税・保険・燃料・駐車場代が加わる。
これが「公共交通を徹底的に充実させる」政策と組み合わさり、「車は必要ない、持ちたくても持てない」という構造が作られている。
在住者の実態
多くの在住者(特に単身・共働き夫婦)は車なし生活をしている。コンドミニアム居住者の場合でも、Grab+MRTで都市内の移動を完結できる場面が多い。
車が「欲しい」から持つのではなく「本当に必要かどうか」を真剣に考える環境がシンガポールにはある。