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住居・賃貸

シンガポールの住居・賃貸ガイド——月40万のコンドと月30万のHDB、どっちを選ぶか

シンガポールで部屋を探すときに知っておきたい物件タイプ・エリア別家賃相場・契約の注意点を解説。コンドミニアムとHDBの違い、日本語対応の不動産会社情報まで。

2026-03-26
家賃相場コンドミニアムHDBエリア賃貸契約

この記事の日本円換算は、1SGD≒124円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(SGD)の金額を基準にしてください。

シンガポールで部屋を探し始めると、最初にぶつかるのが「コンドミニアムとHDBのどちらにするか」という選択。

コンドミニアムはプール・ジム付き、セキュリティ完備。1ベッドルーム(日本の1LDK相当)でSGD 3,500〜6,000(約43万〜74万円)。一方、HDB(公団住宅)は広くて安い。3ルーム(2LDK相当)でSGD 2,500〜3,200(約31万〜40万円)。

金額だけ見れば答えは明確に見えるが、実際に住んでみると「安さ」だけで選ぶと後悔するケースもある。

物件タイプ——4つの選択肢を知っておく

シンガポールの住居は大きく4タイプに分かれる。

コンドミニアム——駐在員の定番

民間の集合住宅。プール、ジム、BBQピット、テニスコート、プレイグラウンド、24時間セキュリティが標準装備。

シンガポールに住む日本人駐在員の大半がコンドミニアムを選ぶ。会社の住宅手当がコンドミニアム前提で設計されていることが多いのも理由の一つ。

間取り家賃目安(SGD/月)日本円換算(目安)
1ベッドルーム2,500〜6,00031万〜74万円
2ベッドルーム3,500〜9,00043万〜112万円
3ベッドルーム4,500〜15,00056万〜186万円

※ エリアにより大きく異なる。上記はシンガポール全体の目安

メリット: 共用施設が充実、セキュリティが高い、物件の質が一定 デメリット: 家賃が高い、HDBに比べて面積が狭いことがある

HDB(公団住宅)——広さとコスパ重視なら

シンガポール国民の約80%が住むHDB(Housing & Development Board)。政府が建設し、国民・永住者に補助金付きで99年リース権を販売する公共住宅制度。オーナーの取得コストが低い分、賃料もコンドミニアムより安くなる。

外国人はリース権を取得できないが、賃貸は可能。ただしオーナーがHDBに入居承認を申請する必要があり、ブロック・地区ごとに外国人の入居比率上限(Non-Citizen Quota)がある。枠が埋まっているブロックでは借りられないこともある。

間取り家賃目安(SGD/月)日本円換算(目安)
3ルーム(2LDK相当)2,500〜3,20031万〜40万円
4ルーム(3LDK相当)3,000〜4,30037万〜53万円
5ルーム(4LDK相当)3,250〜4,35040万〜54万円

メリット: 家賃が安い、広い、ホーカーセンター(フードコート)が近い デメリット: プール・ジム等の共用施設なし、築年数が古い物件が多い、設備は物件次第

コンドミニアムの1ベッドルームの家賃で、HDBなら3LDK以上に住める。家族で広い部屋が必要、共用施設は不要、という人にはHDBが合う。

ランデッドプロパティ(戸建て住宅)——家賃は青天井

テラスハウス、セミデタッチ、バンガローの3タイプ。広い庭と独立した空間が魅力だが、家賃はかなり高い。

タイプ家賃目安(SGD/月)日本円換算(目安)
テラスハウス5,000〜10,00062万〜124万円
セミデタッチ8,000〜15,00099万〜186万円
バンガロー12,000〜30,000149万〜372万円

外国人が購入する場合はSLA(Singapore Land Authority)の承認が必要。賃貸であれば制限なし。

サービスアパートメント——赴任直後のつなぎに

家具付き・清掃付きの短中期滞在向け住居。Ascott、Fraser Residence、Oakwood等が大手。

間取り家賃目安(SGD/月)日本円換算(目安)
スタジオ4,000〜7,00050万〜87万円
1ベッドルーム5,000〜10,00062万〜124万円
2ベッドルーム7,000〜15,00087万〜186万円

赴任直後に長期物件が見つかるまでの仮住まいとして利用するケースが多い。家賃は高いが、すぐに入居できて生活に必要なものが全て揃っている。

エリア別ガイド——日本人が多いのはどこか

シンガポールは小さい国(東京23区とほぼ同じ面積)なので、どこに住んでもMRTで30〜40分あれば市内主要エリアに着く。それでもエリアによって雰囲気・家賃・利便性はかなり違う。

オーチャード / リバーバレー(D9・D10)——日本人駐在員の中心地

高島屋・伊勢丹等の日系デパートが集中。日本食レストラン多数。MRTオーチャード駅・サマセット駅が最寄り。

コンドミニアム家賃目安(SGD/月)

間取り家賃日本円換算
1ベッドルーム3,500〜6,00043万〜74万円
2ベッドルーム5,000〜9,00062万〜112万円
3ベッドルーム7,000〜15,00087万〜186万円

日本人学校へはスクールバスで通学圏内。買い物・外食の利便性は最高だが、家賃もシンガポールで最高水準。

ホーランドビレッジ / ブオナビスタ(D10・D5)——落ち着いた住環境

欧米系・日本人駐在員に人気のカフェ街。ワンノースのテック企業に近い。日本人学校クレメンティ校が徒歩圏内の物件もある。

間取り家賃(SGD/月)日本円換算
1ベッドルーム2,800〜4,20035万〜52万円
2ベッドルーム4,000〜6,50050万〜81万円
3ベッドルーム5,500〜9,00068万〜112万円

オーチャードほどの華やかさはないが、落ち着いた雰囲気で子育て世帯に向いている。

クレメンティ / ウエストコースト(D5)——学校重視の家族向け

日本人学校クレメンティ校・中学部の最寄りエリア。NUS(シンガポール国立大学)にも近い。家賃はシンガポールの中ではリーズナブル。

間取り家賃(SGD/月)日本円換算
1ベッドルーム2,200〜3,20027万〜40万円
2ベッドルーム3,200〜5,00040万〜62万円
3ベッドルーム4,200〜7,00052万〜87万円

日本人学校への通学を最優先にするなら、このエリアが最も合理的。

ノベナ / ニュートン(D11)——医療施設が集中

ノベナメディカルセンター等の医療施設が集まるエリア。市内中心部へのアクセスも良い。

間取り家賃(SGD/月)日本円換算
1ベッドルーム2,800〜4,50035万〜56万円
2ベッドルーム4,000〜6,50050万〜81万円
3ベッドルーム5,500〜9,50068万〜118万円

タンジョンパガー / CBD(D1・D2)——単身者・ビジネスパーソン向け

金融街のど真ん中。マリーナベイビューの物件がある。単身者やカップルに人気だが、家族向けの広い物件は少ない。

間取り家賃(SGD/月)日本円換算
1ベッドルーム3,200〜5,50040万〜68万円
2ベッドルーム5,000〜8,00062万〜99万円
3ベッドルーム7,000〜12,00087万〜149万円

イーストコースト / マリンパレード(D15)——ビーチ沿いの人気エリア

チャンギ空港へのアクセスが良好。イーストコーストパークでジョギングやサイクリングが楽しめる。食文化が豊かなエリア。TEL(トムソン・イーストコースト線)の開通でMRTアクセスも改善。

間取り家賃(SGD/月)日本円換算
1ベッドルーム2,500〜3,80031万〜47万円
2ベッドルーム3,500〜5,50043万〜68万円
3ベッドルーム4,500〜7,50056万〜93万円

賃貸契約——日本との違いを知っておく

シンガポールの賃貸契約は日本と異なる点が多い。知らずに契約すると後悔するポイントがある。

契約期間と敷金

項目内容
標準契約期間2年(1年契約は交渉次第。短期だと家賃が割高になる)
敷金(Security Deposit)2ヶ月分(2年契約)/ 1ヶ月分(1年契約)
エージェント手数料テナント側1ヶ月分(2年契約の場合)。1年契約なら0.5ヶ月分
印紙税(Stamp Duty)年間賃料の0.4%

日本の「礼金」に相当するものはないが、エージェント手数料が実質的に近い役割を果たす。敷金は退去時にクリーニング費等を差し引いて返却される。

ディプロマティック条項——駐在員なら必須

ディプロマティック条項(Diplomatic Clause) は、海外転勤や帰国が決まった場合に2ヶ月前の通知で解約できる条項。通常、契約開始から14〜18ヶ月後に有効になる。

裏を返すと、この条項が有効になるまでの期間(14〜18ヶ月)はミニマムステイとして拘束される。この期間中に退去すると、敷金の没収に加えて残期間の家賃を請求されることもある。2年契約で14ヶ月のミニマムステイなら、最低でも1年2ヶ月は住む前提で契約する必要がある。

駐在員は赴任期間が読めないことが多い。この条項がないと、帰国が決まっても契約期間満了まで家賃を払い続けることになる。契約時にディプロマティック条項の有無とミニマムステイの期間を必ず確認する。

修繕負担

SGD 150以下の軽微な修繕はテナント負担が一般的。エアコンのクリーニング(通常3ヶ月ごと)もテナント負担になることが多い。大きな修繕(配管・電気系統等)はオーナー負担。

家具付きが基本

シンガポールの賃貸は「Fully Furnished(家具付き)」が多い。冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ベッド、ソファ、ダイニングテーブル等が最初から付いている。「Partially Furnished」は一部のみ、「Unfurnished」は何もなし。家具の有無で家賃が変わるので、内覧時に確認する。

部屋探しの流れ

  1. エリア・物件タイプ・予算を決める — 通勤先・学校・生活スタイルから逆算
  2. 不動産エージェントに連絡 — 日本語対応のエージェントもある(後述)
  3. 内覧(Viewing) — 最低3〜5件は見る。写真と実物が違うことはよくある
  4. LOI(Letter of Intent)提出 — 希望条件と金額を書面で提示
  5. 交渉 — 家賃・契約条件・家具の追加等を交渉
  6. TA(Tenancy Agreement)締結 — 契約書にサイン。印紙税を支払い
  7. 敷金・前家賃支払い — 通常は小切手またはBank Transfer。銀行口座の開設がまだの場合は先に済ませておく
  8. 入居 — 入居時に物件の状態を写真で記録しておく(退去時のトラブル防止)

日本語対応の不動産会社

英語での物件探し・契約交渉に不安がある場合は、日本語対応のエージェントを使う選択肢がある。

Tokio Property Services

野村不動産グループの現地法人。賃貸・売買に対応。シンガポール在住の日本人エージェントが日本語で対応する。

スターツシンガポール

ピタットハウスを運営するスターツグループの現地法人。海外不動産事業40年以上、世界34都市に拠点を持つ。コンドミニアム・HDBの賃貸からオフィスまで幅広く扱っている。日本語対応。

エイブルネットワーク シンガポール店

日本人スタッフ常駐で、物件探しから契約まで日本語で完結できる。住宅賃貸のほか、オフィス・店舗の事業用物件や売買にも対応。

「コンド vs HDB」——結局どっちがいいのか

冒頭の問い、「月40万のコンドミニアムと月30万のHDB、QOLはどっちが上か」。

答えは生活スタイルによって変わる。

コンドミニアムが合う人:

  • プール・ジムを日常的に使いたい
  • 会社の住宅手当でカバーできる
  • セキュリティを重視する
  • 子供の遊び場(プレイグラウンド)が欲しい

HDBが合う人:

  • 広い部屋が欲しい(同じ家賃で1〜2部屋多く取れる)
  • 共用施設は不要
  • ローカルの生活を体験したい
  • 家賃を抑えて他のことにお金を使いたい

シンガポールのHDBは日本の公団住宅とはかなり違う。新しいHDBは内装もきれいで、近くにホーカーセンター(安くて美味しいフードコート)がある。「公団=古い・狭い」というイメージで避けるのはもったいない。

一方で、シンガポールの暑さを考えると、仕事終わりにコンドのプールで泳げる生活は確かに快適。プール・ジムの会員費を別途払うことを考えれば、コンドの家賃プレミアムは意外と妥当かもしれない。

まとめ——シンガポールの部屋探しは「優先順位」で決まる

シンガポールの家賃は高い。だからこそ、自分にとっての優先順位を明確にしてから動くのが大切。

  1. 通勤・通学の利便性 — MRT駅から徒歩圏内かどうかで生活の質が大きく変わる
  2. 物件タイプの選択 — コンドの施設が必要か、HDBの広さが必要か。家族構成と生活スタイルで判断する
  3. 契約条件の確認 — ディプロマティック条項、家具の状態、エアコンクリーニングの負担。細かいが後から効いてくる

日本語対応の不動産会社を使えば、契約交渉も日本語で進められる。初めてのシンガポール赴任で不安がある場合は、まずエージェントに相談するところから始めると良い。


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