タイの税務上の居住者——183日ルールと所得申告
タイに年間183日以上滞在すると税務上の居住者になります。2024年以降の海外所得課税の変更点も含め、在住日本人が理解しておくべきタイの税制の基本を解説します。
この記事の日本円換算は、1THB≒4.3円で計算しています(2026年4月時点)。
タイに長く滞在する人が避けて通れないのが税務上の居住者(tax resident)の問題だ。特に2024年以降、タイ国税局が海外所得への課税方針を変更したことで、在住日本人の間でも「どこで何を申告すべきか」という話題が増えている。
183日ルールとは
タイの税法では、暦年(1月1日〜12月31日)に183日以上タイに滞在した場合、タイの「税務居住者」とみなされる。税務居住者になると、タイ国内源泉所得については申告・納税義務が生じる。
183日は累計でカウントされる。ビザの種類(観光ビザ、リタイアメントビザ、ノンイミグラントビザなど)は税務居住者の判定に影響しない。滞在日数だけが基準だ。
2024年の課税方針変更
従来のタイ税法では、海外で得た所得はタイに送金した年に申告が必要とされていた。しかし実務上は「前年の所得を翌年以降に送金すれば非課税」という解釈が広く使われていた。
2024年1月以降、この「前年所得の翌年送金」による非課税スキームが封じられた。タイ国税局の通達(Por.161/162/2566)により、2024年以降に送金する海外所得は取得年に関わらず申告対象になる可能性が高まった。
ただし、日本とタイの間には租税条約が結ばれている。日本で課税済みの所得については二重課税を避ける仕組みがあるため、実際の影響は個人の収入構成によって異なる。
タイの所得税率
タイの個人所得税は累進課税で、税率は0〜35%。
| 課税所得(THB/年) | 税率 |
|---|---|
| 〜150,000 | 免税 |
| 150,001〜300,000 | 5% |
| 300,001〜500,000 | 10% |
| 500,001〜750,000 | 15% |
| 750,001〜1,000,000 | 20% |
| 1,000,001〜2,000,000 | 25% |
| 2,000,001〜5,000,000 | 30% |
| 5,000,001〜 | 35% |
確定申告期限は翌年3月31日(紙申告)または4月8日(オンライン申告)。
実務上の注意点
タイでの申告が必要かどうかは、収入の種類(給与か投資か)、タイ国内か国外かの源泉、日本での課税状況によって変わる。一般論では判断しきれないケースが多く、現地の税理士または会計士に相談する方が安全だ。
特にデジタルノマドやリタイアメントビザで長期滞在している人、日本の不動産収入をタイに送金している人は、2024年以降の扱いを確認しておく必要がある。知らなかったでは済まない話なので、早めの確認をお勧めする。