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扇風機部屋という選択肢——タイの賃貸が二層に分かれる経済論理

タイの賃貸はファン付きとエアコン付きで明確に分かれる。この二層構造がなぜ生まれ、入居者の暮らしと電気代をどう左右するのか、住まいの経済を整理する。

2026-08-23
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この記事の日本円換算は、1THB≒4.9円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨(THB)の金額を基準にしてください。

タイで部屋を探すと、物件情報が「ファンルーム」と「エアコンルーム」にはっきり分かれていることに気づく。日本では考えにくい区別だ。この二層構造には、所得と気候と電気代が絡んだ、合理的な経済論理がある。

家賃そのものの差

同じ広さ・同じ立地でも、エアコンの有無で家賃が変わる。地方都市のワンルームで、ファンのみの部屋が月THB 2,500〜3,500(12,250〜17,150円)程度、エアコン付きで月THB 4,500〜6,000(22,050〜29,400円)程度というのが一つの目安だ(推定)。

この差は、設備投資と需要層の違いを反映している。エアコンは初期費用も維持費もかかる設備で、それを備えた部屋は当然高くなる。大家にとっては、どちらの層を狙うかで物件の作り方が変わる。安さ重視の層にはファン部屋を、快適さを払える層にはエアコン部屋を提供する。

電気代という第二の家賃

家賃の差だけで判断すると失敗する。エアコン部屋は、家賃に加えて電気代が大きくのしかかるからだ。タイの電気料金は使用量が増えるほど単価が上がる仕組みで、猛暑のなかエアコンを長時間使えば請求額が跳ね上がる。

さらに注意したいのが電気の単価設定だ。物件によっては、大家が公共料金より高い独自単価で電気代を請求することがある。契約前に電気の単価を確認しないと、安い家賃に惹かれて入居したのに、毎月の電気代で割高になることがある。家賃と電気代を合わせた総額で考えるのが鉄則だ。

どちらを選ぶかは生活時間で決まる

ファン部屋でも、夜は気温が下がる地域や、日中ほとんど家にいない人なら十分快適に過ごせる。逆に在宅で長時間過ごす人や、暑さに弱い人にはエアコンが欠かせない。

選択の基準は予算だけでなく、自分の生活時間と体質だ。家にいる時間が短いなら、ファン部屋で家賃と電気代を抑え、その分を別の支出に回す方が合理的なこともある。一方、在宅勤務が中心なら、多少高くてもエアコン部屋の方が結果的に生産性で元が取れる。

二層構造から見える社会の縮図

ファン部屋とエアコン部屋の分かれ方は、タイ社会が涼しさをどう配分しているかの縮図でもある。涼しさは無料の自然ではなく、お金で買う商品だ。その買い方を、人々は予算と生活に合わせて選んでいる。

タイで部屋を借りるなら、家賃の数字だけでなく、電気の単価とエアコンの維持費まで含めて比較する。この一手間が、住んでから後悔しないための最も確実な防御になる。

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