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タイの交通・テクノロジー

バイクタクシーのデジタル化——オレンジベストのドライバーがアプリと共存する理由

バンコクのバイクタクシーはGrabやLINEMANの登場で業態が変化した。デジタル化で何が変わり、何が変わらなかったかを解説。

2026-04-12
バイクタクシーGrab交通デジタルバンコク

この記事の日本円換算は、1THB≒4.4円で計算しています(2026年4月時点)。

バンコクのソイ(路地)の入口に立つオレンジ色のベストを着たドライバーたち——バイクタクシーはバンコクの毛細血管的な移動インフラです。BTSや地下鉄が届かない「ラストワンマイル」を担う彼らは、2010年代後半からのライドシェアアプリの台頭でどう変わったのか。

バンコクのバイクタクシーの仕組み

バイクタクシーはタイ語で「モーターサイ・ラップジャーン」。ドライバーは地元の管轄警察署に登録し、オレンジ色のベストに番号を付けて運営します。

料金は交渉制が基本で、距離に応じて20〜100THB(88〜440円)程度。Grabなどのアプリに比べて安く、特に朝夕の渋滞時にBTSの駅から事務所・コンドミニアムへ移動するのに重宝されます。

アプリが変えたこと

GrabBike(Grabのバイクサービス)とLINEMAN(LINEのデリバリー・ライドサービス)の参入で、バイクタクシー市場は二つのセグメントに分かれました。

アプリ配車バイク(GrabBike等):

  • スマホアプリで呼べる
  • 価格が事前確定
  • ドライバーへの評価・クレームシステムあり
  • 外国人・タイ語が話せない人に使いやすい

路上バイクタクシー(既存):

  • 現金のみ・交渉制
  • 特定のソイに「縄張り」があり、素早く呼べる
  • 常連客を持つドライバーは高収入

多くのドライバーが両方を掛け持ちするハイブリッド型になっています。朝夕のラッシュは路上で常連客を拾い、昼間の暇な時間はGrabBikeの注文を受ける。

縄張りと非公式の秩序

バンコクのバイクタクシーには「縄張り」があります。各ソイ(路地)の入口に特定のグループが陣取り、そのエリアで客を拾う権利を持っています。新規参入しようとすると摩擦が起きる。

この縄張りは警察・地元組織との複雑な関係で維持されており、アプリの参入後もこの構造は完全には崩れていません。GrabBikeのドライバーが既存バイクタクシーグループのエリアに入ったことで衝突が起きた事例も、2010年代後半に報告されています。

ドライバーの収入

フルタイムのバイクタクシードライバーの月収は、立地・時間帯によりますが15,000〜30,000THB(6.6万〜13.2万円)程度とされます。GrabBikeのデリバリー(フード・荷物)を組み合わせると上乗せできる場合があります。

バイクのメンテナンス費や燃料費、ベスト登録費用を差し引くと、実質的な手取りはさらに減ります。「稼ぎは安定しないが、自由な時間の使い方ができる」というのがドライバーたちの多くが話す理由です。

在住者として覚えておくと便利なのは、「なじみのドライバーを見つけてLINEを交換する」こと。直接連絡できると待ち時間ゼロ、料金交渉不要になり、雨の日も心強い。

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