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経済・ビジネス

タイのナイトマーケット出店者はいくら稼いでいるのか——観光客を支える小規模経済の実態

チャトゥチャック・ロットファイ・アジアティーク——バンコクのナイトマーケットに出店する業者の収益構造と、観光経済が変えた市場のあり方を数字で見る。

2026-04-13
ナイトマーケット起業観光経済物販バンコク

この記事の日本円換算は、1THB≒4.3円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

バンコクのナイトマーケットを夜9時に歩くと、ほぼ全ての屋台が盛況に見える。雑貨・衣類・フード・アクセサリーが所狭しと並び、照明が客を引き寄せる。

「全員が儲かっている」ように見えるが、実態はどうか。

出店コストの構造

バンコクの主要ナイトマーケットへの出店費用は場所によって大きく異なる。

観光客向けの大型マーケット(アジアティーク・ローカライズ等)では、テント一区画の月額賃料が20,000〜40,000THB(約8万6,000〜17万2,000円)程度とされる。週末のみ出店の場合でも1日あたり1,000〜3,000THB(約4,300〜1万2,900円)の場所代がかかる。

チャトゥチャック・ウィークエンドマーケット(土日のみ開催)は出店者数が約1万5,000店とされる大規模市場だ。固定テントの月額は5,000〜15,000THB(約2万1,500〜6万4,500円)程度。ただし人気区画は権利が継承されており、新規参入は難しい。

売上と利益の実態

観光客が多いゾーンの雑貨・衣類店で一日の売上が10,000〜30,000THB(約4万3,000〜12万9,000円)を達成する業者がいる一方、出店代と仕入れコストを引くと利益は5,000〜10,000THB(約2万1,500〜4万3,000円)以下という場合も珍しくない。

フード出店の場合、食材原価率30〜40%・場所代・光熱費を引いた後の利益率は全体の20〜30%程度が目安とされる。1日の売上が5,000THBのフード屋台で純利益は1,000〜1,500THBという計算になる。

旅行者が「安い」と感じる価格でも、薄利多売の構造で成立していることがわかる。

観光化が変えたマーケットの性格

10〜15年前のバンコクのナイトマーケットは、地元住民が日用品・食料を買う場所としての性格が強かった。しかし観光業の拡大とともに「外国人観光客向け市場」としての比重が高まった。

その結果、商品ラインナップが変化した。地元住民が買う実用品(野菜・日用品・安価な衣類)より、土産物・ファッション雑貨・インスタグラム映えする食べ物の割合が増えた。価格も観光客向けにやや高く設定されるようになった。

ロカール向けと観光客向けの二極化が起きており、チャトゥチャックのような「地元需要もある」マーケットと、純粋に観光向けに作られたマーケットでは雰囲気も商品も大きく異なる。

出店者の多様性

バンコクのナイトマーケット出店者は均質ではない。

地方から出てきた農村家庭の手作り工芸品を売る小規模業者。輸入品の転売で月100,000THB(約43万円)以上を稼ぐ中規模業者。副業として週末のみ出店するサラリーマン。観光地に特化した商品を複数マーケットに展開する専業業者。

「屋台で出店している」という外見は同じでも、その背後にある経済規模は大きく異なる。観光客が見る「安くて賑わうマーケット」の内側では、小さくも多様な起業家経済が動いている。

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