外国人はタイの土地を買えない——不動産規制の構造と「抜け道」の現実
タイは外国人の土地所有を原則禁止している。コンドミニアム購入の条件、長期リース、名義貸しの法的リスクを整理。
この記事の日本円換算は、1THB≒4.4円で計算しています(2026年4月時点)。
「タイに移住したらマンションを買いたい」と考えている方は多いと思います。ただ、タイの外国人向け不動産規制は日本の常識とかなり異なります。知らずに進めると法的リスクを抱える可能性があるので、構造から確認します。
原則:外国人は土地(ランド)を買えない
タイの土地法(Land Code)では、外国人の土地所有は原則禁止です。この規制は1970年代から続いており、国内農業・産業の外資支配を防ぐ目的がありました。
外国人が所有できないもの: 一戸建て住宅、タウンハウス、土地付き物件。
外国人でも買えるもの:コンドミニアム
例外として、コンドミニアム(区分所有マンション)は外国人でも購入できます。ただし条件があります。
コンドミニアム法(Condominium Act)の制限:
- 1棟のビル全体で外国人所有は49%まで
- 残り51%はタイ人が所有しなければならない
- 外国通貨からタイバーツに両替した証明(FET書類)が必要
バンコク中心部のコンドミニアム価格は、スクンビット周辺の新築物件で1ユニット3,000,000〜10,000,000THB(1,320万〜4,400万円)程度が多い。築古や郊外ならその半額以下もあります。
「長期リース」という選択肢
土地や一戸建てに住みたい場合、長期リース(最大30年)が現実的な選択肢です。タイの土地法では外国人でも30年のリース契約が認められており、さらに30年の更新オプションを付けることも可能です(法的拘束力には議論あり)。
ただし更新オプションは「合意があれば更新できる」という約束に過ぎず、地主が変わったり亡くなった場合に更新が認められない事例も発生しています。
名義貸し(タイ人妻名義)の法的リスク
在住外国人の一部が実践している「タイ人パートナー名義で土地を購入する」方法。これは法律的にグレーゾーンです。
タイの土地局は、外国人の資金で購入した物件のタイ人名義については厳しく見ているとされています。発覚した場合、外国人への名義人としての罰則ではなく、所有権自体が無効化されるリスクがあります。パートナーとの関係が悪化した場合、外国人側に法的な保護はほとんどありません。
外国人に現実的な選択肢
| 選択肢 | 法的安全性 | 注意点 |
|---|---|---|
| コンドミニアム購入 | 高い | 外国人枠49%制限、FET書類必須 |
| 長期リース(30年) | 中程度 | 更新保証なし |
| 賃貸のまま維持 | 最も高い | 資産形成できない |
| タイ法人設立で土地購入 | 低〜中 | 事業実態がないと問題になりうる |
バンコクで多くの外国人が選ぶのは「コンドミニアム購入 or 賃貸継続」の二択です。タイに永住する強い意志と法的リスクを受け入れられる場合のみ、他の選択肢を検討する価値があります。移住初年度から不動産購入に動くのは、よほど信頼できる弁護士と専門家のサポートがある場合を除いて推奨しません。