外国人がタイでコンドを買う——法律・手続き・リスクの整理
タイで外国人がコンドミニアムを購入する際の法律上の制限、必要な手続き、外貨送金の要件、リスクを整理する。「外国人クオータ」が何かを知らずに買うと後悔する。
この記事の日本円換算は、1THB≒4.3円で計算しています(2026年4月時点)。
タイで外国人がコンドを買えるのは事実だ。ただし制限がある。「買える」と「無制限に買える」の間には大きな差があり、これを誤解したまま進めると取引が成立しないことがある。
外国人クオータ(Foreign Quota)
タイの法律(Condominium Act)では、コンドミニアム棟全体の総床面積のうち49%までを外国人名義で所有できる。これを Foreign Quota という。
つまり同じ棟の物件でも、外国人名義での購入枠が残っているかどうかを確認しなければならない。人気のバンコク中心部の新築物件ではクオータが埋まっているケースもある。デベロッパーまたは管理組合に「Current foreign quota utilization」を確認するのが最初のステップだ。
外貨送金の要件(FET: Foreign Exchange Transaction Form)
外国人がタイで不動産を購入するには、購入資金を海外から外貨でタイに送金し、その記録(Foreign Exchange Transaction Form / FET Form)を取得する必要がある。
なぜFETが必要か——タイ国内の銀行口座にあるバーツで支払うだけでは、将来その物件を売却した際に売却代金を海外に送金できなくなる。FETはその「海外資金由来」の証明書になる。
金額の目安:
- バンコク中心部コンド1LDK(35㎡): 300万〜600万バーツ(約1,290〜2,580万円)
- プロンポン・アソーク周辺 2LDK: 700万〜1,500万バーツ(約3,010〜6,450万円)
- パタヤ・チェンマイの地方都市: 100万〜300万バーツ(約430〜1,290万円)
購入手続きの流れ
- 物件選定・クオータ確認
- 売買契約(Sale and Purchase Agreement)締結
- 海外から外貨送金(FETフォームをタイの銀行で取得)
- 土地局(Land Department)での名義変更登記
- 名義書換税・移転費用の支払い
名義変更費用:
- 移転税: 課税評価額の2%
- 印紙税 or 特別事業税(SBT): 状況により0.5%または3.3%
- 所得税(源泉): 個人売主からの場合に課税
リスクとして知っておくこと
開発リスク: プレセール(青田売り)で購入した場合、建設中止・遅延が起きることがある。タイでは2010年代以降も複数の大手デベロッパーが倒産した実例がある。信頼性の高いデベロッパー(Sansiri・AP Thailand・Pruksa等の上場企業)を選ぶのが基本だ。
土地は買えない: 外国人個人は土地の所有権を持てない。建物(コンド)のみが購入対象となる。タウンハウスや一戸建てを所有したい場合は別の法人スキーム(タイ法人設立等)になるが、これには別途リスクと費用が伴う。
賃貸利回りの現実: バンコク中心部の賃貸利回りは表面で4〜6%程度と言われるが、空室期間・管理費・修繕費を差し引くと実質3〜4%台になることが多い。「利回り良好」という売り文句を鵜呑みにしない姿勢が必要だ。
購入を検討するなら、タイの不動産に精通した日本語対応の現地弁護士に相談することが、後々のトラブル防止につながる。