タイの「大家族」——親戚全員が集まる週末と、個人主義が入り込む空間
タイでは拡大家族との結びつきが強く、週末は親族が集まり食事を共にする習慣が多い。この家族観が仕事・結婚・老後にどう影響するか、変化しつつある都市部の若者との対比も含めて解説します。
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タイの田舎の家は広い。廊下ではなく、広いテラスが家族の中心になっている。
週末になると、祖父母・両親・兄弟・いとこが集まる。誰かが大きな鍋に料理を作り、誰かが子どもの面倒をみる。誰が費用を出し、誰が料理するかは、特に決められていない。それが「家族」として当たり前の動き方だ。
拡大家族というセーフティネット
タイでは核家族よりも拡大家族(祖父母・親・子・きょうだいが近くに住む形)のつながりが根強い。
仕事を失ったとき、病気になったとき、子育てのとき——困ったことがあると、まず「家族に頼る」。これが機能するのは、家族全員が「自分の問題は家族全体の問題」という前提で動いているからだ。
国家の社会保障が十分でない時代に、この相互扶助が生活を支えてきた。
長男・長女への期待
タイでは長男・長女が親の面倒を見ることが暗黙に期待されることが多い。
特に地方では、兄弟の中で最も稼げる子が親の生活を支えるという構造が一般的だ。「仕送り」は義務ではなく「愛情の表現」として行われる側面があるが、同時に経済的プレッシャーにもなる。
結婚と家族の経済
タイの結婚では「シンソッド」という持参金(新郎側が新婦家族に渡す)の慣習がある。
金額は双方の話し合いで決まり、一般的には100,000〜500,000THB(推定)程度とされることが多いが、裕福な家庭や美容・教育水準が高い女性への場合はそれ以上になることもある。
シンソッドは現金だけでなく金(ゴールド)や土地で渡すケースもある。国際結婚の場合、外国人男性がシンソッドを準備する必要があるのかどうか、認識のズレがトラブルになることもある。
都市部の若者の変化
バンコクで育った若い世代の中には、拡大家族の束縛から距離を置こうとする動きも出ている。
「自分の生き方を自分で決めたい」「週末を家族のために使いたくない」——こうした価値観の変化は、特に高学歴・都市居住・SNSで国際的な価値観に触れた世代で見られる。
ただし「変わりたいが、親や祖父母を悲しませるのは辛い」という葛藤も同時にある。個人主義と家族主義の間で揺れるのは、アジアの若者に共通するテーマだ。
外国人がタイ人家族に招かれたとき
タイ人の友人・パートナーの家族に招かれた場合、温かいもてなしを受けることが多い。
食事を断ると失礼になる。食べながら会話する。年長者を立てる——こうした基本的な配慮があれば、タイの家族は外国人を受け入れる親和性が高い。
「ファランが来た(外国人が来た)」というのは、家族のイベントとしてポジティブに受け取られることが多い。初対面でも食卓に招かれれば、それは家族の一員として扱われる最初の一歩だ。