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文化・社会構造の分析

タイの葬儀が7日間続く理由——仏教と経済が絡み合う弔いの構造

タイの葬儀は通常3〜7日間続く。寺院での読経、僧侶への托鉢、火葬までの流れと費用構造を解説。日本の葬儀との違い、在住日本人が参列する際のマナー、香典(ซองขาว)の相場まで。

2026-05-31
葬儀仏教寺院文化マナー

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タイの葬儀は、日本の感覚で言えば異常に長い。最低でも3日、一般的には5〜7日間続く。王族や高僧の場合、100日を超えることもある。「なぜそんなに長いのか」を辿ると、仏教の死生観とタイ社会の経済構造が見えてくる。

7日間の構造

タイの葬儀は大きく3つのフェーズに分かれる。

フェーズ1: 安置(1〜3日目) — 遺体を寺院に安置し、毎晩僧侶が読経する。参列者はこの期間に自由に弔問する。日本のような「通夜は何時から」という厳密な時間設定はない。

フェーズ2: 法要(4〜6日目) — 毎晩の読経が続く。参列者は日替わりで訪れ、遺族と食事を共にする。この食事は遺族側が提供する。

フェーズ3: 火葬(最終日) — 僧侶の読経後、参列者全員が棺にサンダルウッドの花(ดอกจันทน์)を供え、火葬する。

長い理由の一つは実務的だ。タイは国土が広く、地方出身者が多いバンコクでは、親族が全国から集まるのに時間がかかる。もう一つは宗教的な理由で、功徳(タンブン)を積む機会を多くの人に提供するためとされる。

費用構造

項目相場
寺院使用料(3〜7日間)10,000〜50,000THB(約4.3万〜21.5万円)
僧侶への布施(1日あたり4〜9名)1,000〜3,000THB/日
棺・装飾15,000〜100,000THB
参列者への食事提供(毎晩)5,000〜20,000THB/日
火葬費用5,000〜20,000THB

合計で10万〜50万THB(約43万〜215万円)が相場だ。日本の葬儀費用(平均150〜200万円)と比べると安いが、タイの平均月収(約15,000THB)を考えると、数ヶ月分の収入に相当する重い出費だ。

香典(ซองขาว)の相場

タイの香典は白い封筒(ซองขาว / ソーン・カーオ)に現金を入れて渡す。黒のリボンが付いた封筒がコンビニで売っている。

在住日本人が同僚や知人の葬儀に参列する場合、500〜2,000THB(約2,200〜8,600円)が一般的。上司や親しい友人なら3,000〜5,000THB。会社として出す場合は5,000〜10,000THBが多い。

参列時のマナー

服装は黒。白はタイの葬儀ではNG(中華系タイ人の葬儀では白の場合もあるが、迷ったら黒)。靴を脱いで本堂に入り、僧侶の読経中は正座か体育座りで静かに座る。読経が終わったら遺族に挨拶し、食事に参加する。

日本の葬儀と最も違うのは「雰囲気」だ。タイの葬儀は意外なほど和やかで、参列者同士が談笑し、食事を楽しむ光景がある。これは不謹慎ではなく、故人を送る「功徳の場」に多くの人が集まること自体が善行とされるからだ。

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