タイが「LGBTに寛容」とされる理由とその限界——複雑な現実を見る
タイはアジアの中でLGBT、特にトランスジェンダー(カトゥーイ)に対して比較的オープンとされる。しかし法制度的な保護は限られ、差別も存在する。この複雑な現実を解説します。
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バンコクのショッピングモールで働く美しいトランスジェンダー女性(カトゥーイ)、テレビで活躍するゲイのタレント、観光地で見かけるレインボーフラッグ——タイは表面上、LGBTに対してオープンに見える。
「タイは寛容だ」という評価は完全に間違いではないが、完全に正しくもない。
「カトゥーイ」という存在
タイでは伝統的に、男女どちらでもない「第三の性」が社会に存在してきた。仏教的な世界観の中で、前世の業がこの世で異なる性として生まれることがあるという考え方が、トランスジェンダーへの社会的受容の一因とも言われる。
カトゥーイ(Kathoey)は、男性から女性へのトランスジェンダー、あるいはジェンダー規範から外れた存在を示す言葉として使われてきた。テレビのバラエティ番組、美容サロン、エンターテインメント業界では可視的な存在だ。
「見えること」と「権利があること」の差
一方で、タイでは同性婚は長らく法的に認められていなかった。2024年に同性婚を認める法律の成立に向けた動きが進んでいたが(最新の法的状況は公式機関で確認のこと)、法律での保護はまだ発展途上だ。
職場での差別、家族からの拒絶、就職の際のハードル——法制度として守られていない部分では、タイのLGBT当事者は依然として困難に直面している場合がある。
「タイはLGBTに優しい」という言説は、都市部の見えやすい側面だけを切り取った表現で、農村部や保守的な文化的文脈では状況が異なる。
バンコクのLGBTシーン
バンコクにはシーロムやパタヤなど、LGBTフレンドリーなバー・クラブが集まるエリアがある。
プライドパレードも開催されており(規模・開催状況は年によって異なる)、アジアのLGBTコミュニティのハブ的な役割を果たしている側面がある。旅行者がLGBTフレンドリーな目的地としてタイを選ぶケースもある。
タイ社会の多層性を見る
「タイはLGBTに寛容か」という問いへの答えは、「部分的にはYes、部分的にはNo」だ。
可視性は高く、社会的な排除感は日本より低い部分がある。ただし法的・制度的な保護の観点では、欧米先進国と比べると大きな差がある。
この複雑さをそのまま理解することが、タイという社会を単純化せずに捉えることにつながる。