Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
生活・手続き

水不足と洪水——タイの水インフラの現実

タイは「水が多すぎる年」と「水が足りない年」を繰り返す国だ。2011年大洪水から15年、バンコク在住者が知っておくべき水インフラの現状と乾季・雨季の備えを解説。

2026-04-23
洪水水不足インフラバンコク生活雨季

この記事の日本円換算は、1THB≒4.3円で計算しています(2026年4月時点)。

バンコクの雨季(5〜10月)に外を歩いていると、スコールが30分降っただけで膝下まで浸水している路地をよく見かける。一方で、乾季の北部では農業用水が不足して深刻なニュースが流れる。タイは「水過多」と「水不足」を同じ国で抱えている。

2011年大洪水が残したもの

2011年の大洪水はタイ史上最大規模で、死者約800人、経済損失は1.4兆バーツ(約6兆200億円)以上とされた(出典:世界銀行、2011年タイ洪水被害報告)。工業団地が水没し、日系自動車・電機メーカーのサプライチェーンが寸断されたことで日本でも大きく報道された。

その後、タイ政府は堤防強化・排水ポンプ増設・洪水ハザードマップ整備などを進めてきた。バンコク都庁(BMA)は地下排水トンネルの拡張を複数フェーズで計画しているが、2026年時点でも完全には完成していない区域がある(出典:バンコク都庁公式発表)。

在住者が感じる「日常の水問題」

バンコク在住の日本人が最初に驚くのは、水道水を直接飲まないのが常識という点だ。蛇口から出る水は雑菌・重金属リスクがあるとされており、飲料水はウォーターサーバーまたはPETボトルで対応するのが一般的。月にウォーターサーバー代としてかかる費用は200〜400バーツ(860〜1,720円)程度が目安だ。

雨季には排水不良エリアで道路冠水が起きる。アソーク交差点やオンヌットの低地など、「浸水しやすい場所」はローカルの間で知られており、物件を借りる際の判断基準になっている。浸水歴のある物件は家賃が安い傾向がある。

北部の水不足問題

チェンマイ・チェンライなど北部では、乾季(12〜4月)に農業用水が不足するケースが繰り返されている。山岳地帯の森林伐採による保水力低下・灌漑整備の遅れが原因とされる。2023〜2024年は干ばつが比較的厳しく、農家への補助金が出た(出典:タイ農業農協省)。

旅行者・短期滞在者には見えにくいが、在住者として北部に行くと「川の水位が低い」「貯水池が干上がっている」という光景が印象に残る。

備え——在住者に必要なこと

バンコク在住なら、雨季に入る前(4〜5月)に以下を確認しておくと安心だ。

  • 居住区のハザードマップ確認: BMAや国家水資源局(NWA)が公開しているオンラインマップで自宅周辺の洪水リスクを確認できる
  • 飲料水の確保: 停電・断水時用にPETボトルを数日分ストック
  • 保険の確認: 洪水被害を補償する家財保険・家賃保険に入っているか確認する

タイの水問題は「自然災害」と「インフラ整備の遅れ」が混在しているため、一概に解決できるものではない。ただ、何が起きているかを知っていれば、突然の浸水にも慌てず対処できる。

コメント

読み込み中...