プーケット・コサムイ在住者のリアル:観光地に住むということ
「南の島に住む」は理想的に聞こえる。でもプーケットやコサムイで実際に暮らす外国人が直面するのは、観光地特有のコスト・インフラ・孤立の問題だ。
この記事の日本円換算は、1THB≒4.3円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(THB)の金額を基準にしてください。
「プーケットに移住したい」という話をタイ在住者にすると、少し複雑な表情をされることがある。否定しているわけではない。ただ、観光地として知っているプーケットと、住む場所としてのプーケットは別物だという感覚が、住んだことのある人にはある。
プーケットとコサムイ——それぞれに住んだことのある在住者の話を聞くと、共通するテーマが浮かんでくる。
プーケット在住の実態
生活コスト:バンコクより高い
プーケットはタイの中でも生活費が高い地域に入る。理由は簡単で、島に物資を運ぶコストが上乗せされるからだ。
プーケット市内の家賃目安(2025〜2026年):
| 物件タイプ | 月額家賃 |
|---|---|
| スタジオ(中心部) | 8,000〜15,000THB |
| 1LDK(プールあり) | 15,000〜30,000THB |
| 一戸建て(プールあり) | 30,000〜80,000THB |
| ビーチフロント(高級) | 80,000THB〜 |
食料品は島外から運ぶため、バンコクより10〜20%程度高い品目が多い。外食はパトン・カタ・カロン等の観光エリアでは観光客価格が標準となっており、屋台でも100〜150THBが相場になる(バンコクなら50〜80THB)。
交通:車が必須
プーケットには実用的な公共交通機関がない。バスは一応あるが本数が少なく使いにくい。島の面積は広く、バイクか車がないと生活は成り立たない。
バイクレンタルは月3,000〜5,000THB(約12,900〜21,500円)、車のレンタルは月15,000〜25,000THB(約64,500〜107,500円)が目安。レンタルを続けるより、長期在住なら購入を検討する人も多い。
季節による「二面性」
プーケットはモンスーン(雨期)と乾季でまったく別の顔を持つ。
- 乾季(11月〜4月):観光客が集中し、レストランや施設が充実。価格も高騰する
- 雨期(5月〜10月):観光客が減り、島がガラガラになる。一部のレストラン・バーが閉店する。ビーチは荒天で入れない日が続く
在住者の多くが「雨期のプーケットは静かすぎて暇」と言う一方、「観光客が少なくて落ち着く」という人もいる。どちらに価値を見出すかが、長期居住の向き不向きを分ける。
コサムイ在住の実態
プーケットより小さく、より「島感」が強い。コサムイ(サムイ島)の人口は約6万人。外国人長期滞在者はリタイア組と欧米人在住者が多い。
生活コスト:プーケット以上に高い
コサムイはプーケット以上に物資を運ぶコストがかかる。スーパーの食料品・日用品はバンコクより20〜30%高い品目が多い。
飛行機(バンコク〜コサムイ)はバンコク・エアウェイズが独占運航しており、往復で10,000〜25,000THB(約43,000〜107,500円)になることが多い。この「足」のコストが在住者にとって一番の問題になる。
医療:バンコクへ出ることが前提
コサムイには私立病院(バンドン病院・スラートターニー病院等)があるが、専門医・高度医療は島内で完結しない。重篤な場合はバンコクへの移送が必要になる。
医療が必要なタイミングでバンコク行きの飛行機を予約する——このリスクを受け入れられるかが、コサムイ在住を決める一つの基準だ。
外国人コミュニティ
コサムイの在住外国人コミュニティは密度が高く、バーやカフェでよく顔見知りになる。プーケットのような大都市的な匿名性はなく、「島のコミュニティ」として機能している。
この密なコミュニティを心地よく感じる人には居場所ができやすい。反対に「人間関係が狭い」と感じる人はバンコクを選ぶ。
プーケット vs コサムイ:どちらが向いているか
| 判断軸 | プーケット | コサムイ |
|---|---|---|
| 生活インフラ | 充実(大型スーパー・病院あり) | 限られる |
| バンコクへのアクセス | 飛行機1.5時間(格安航空あり) | 飛行機1時間(バンコクエア独占) |
| 外国人コミュニティ | 多様・大規模 | 小さく密 |
| 家賃水準 | 高め | プーケットより高め |
| 自然環境 | 島全体が大きく多様 | コンパクトで海が近い |
バンコク在住者との「往復スタイル」
プーケット・コサムイに「ベース」を置きつつ、バンコクと行き来するスタイルを取る在住者もいる。バンコクの仕事に関わりながら、週末はビーチ——という生活パターンだ。
ただしこのスタイルはコストがかかる。プーケット↔バンコクの格安航空(エアアジア等)でも往復5,000〜10,000THB(約21,500〜43,000円)程度。コサムイはさらに高い。月に2〜3回往復すれば、それだけで大きな出費になる。
旅行者・出張者への補足
プーケット・コサムイへの旅行者にとって有用な情報として:
- ソンクラン(4月)やクリスマス・年末の繁忙期は宿泊費が通常の2〜3倍になる
- 旅行での満足度は高いが、「住む場所として見る」目線を持って滞在してみると、観光とは異なる島の実態が見える
「南の島に住む」という選択は、快適さと引き換えにいくつかの不便を受け入れることになる。それを承知の上で選ぶ在住者にとっては、バンコクにはない時間の流れ方がある。それが価値になるかどうかは、最終的には自分にしかわからない。