廢墟(フェイシュー)——台湾の廃墟探索文化と「滅失」する建物たち
台湾には廃墟になった建物が多い。廃旅館・廃軍営・放棄された集落——廃墟をめぐる文化と、建物が廃棄されやすい台湾独特の事情を探る。
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台湾の地方を車で走ると、突然廃墟が現れることがある。外壁が崩れ、窓ガラスが割れ、植物が内部に侵食している建物——それが街中のビルの隣に普通に立っている。
廃墟大国という印象を台湾に持つ人は少ないかもしれないが、廢墟(フェイシュー)探索はSNSで独自の文化を形成しているほど、廃墟の数は多い。
廃墟が多い理由
台湾で建物が廃棄されやすい要因はいくつかある。
不動産の相続問題: 兄弟姉妹間で複数名が土地を共有相続すると、全員の同意なしに売却・解体できない。意見が合わない相続人がいると、建物は放置されたまま数十年が経過する。
建蔽率・容積率の問題: 古い建物を壊して新しい建物を建てる際に、現在の都市計画規制に縛られ、以前より小さい建物しか建てられないことがある。そのため取り壊しの経済合理性がないまま放置される。
地震リスクと補修費用: 1999年の集集地震(921大地震)以降、耐震補強への意識が高まったが、費用が高く放置されるケースもある。
廢墟探索文化
台湾のSNS(FacebookやInstagram)には廢墟探索のグループやアカウントが存在し、廃旅館・廃病院・廃軍事施設などの写真が共有される。
廃軍事基地は特に人気があり、金門島(キンメン島)や澎湖(ポンフー)には日本統治時代や冷戦時代の遺構が多く残っている。観光地として整備されたものもあれば、立ち入り禁止のまま放置されているものもある。
廃墟を見て何かを感じる人と、単に危険なものと見る人の差は大きい。だが廃墟の存在が可視化する「処分できない問題」は、台湾社会の構造的な問いでもある。