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台湾先住民族の狩猟・採集文化と現代の法律

台湾の16の公認先住民族は独自の狩猟・採集文化を持っています。現代の法律との関係、許可制度、文化保護の取り組みについて解説します。

2026-04-24
先住民族狩猟文化台湾文化原住民

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台湾東部の山岳地帯、花蓮や台東の内陸に入ると、海岸平野の台湾とは別の顔が現れる。アミ族、タイヤル族、ブヌン族、パイワン族——台湾政府が公認する先住民族は16族に上る。その多くが山地に暮らし、独自の言語・文化・食の体系を維持している。

狩猟文化の歴史と現在

台湾先住民族にとって狩猟は単なる食料調達ではなく、成人儀礼・精神文化・コミュニティの結束と深くつながる行為だった。特にブヌン族は優れた狩人として知られ、鹿・猪・山鳥などを罠や弓矢で捕っていた。

1945年以降の政府による土地管理・野生動物保護の法制化で、先住民族の伝統的な狩猟は制限を受けてきた。しかし2017年の「原住民族基本法」に基づく制度整備により、先住民族が自給を目的とした狩猟を行う場合、申請手続きを経て許可を得られる枠組みが設けられた。

許可制度の実態

現行制度では、認定された先住民族の成員が、先祖の慣習に基づく狩猟を行う場合、地方原住民族委員会への申請が必要だ。台湾の野生動物保護法が適用される種は対象外になることもあり、制度と文化の間の摩擦は完全には解消されていない。

実務的には「家族の食事のための小規模な狩猟」は比較的許容される傾向がある一方、商業的な野生動物の取引は禁じられている。

採集と食文化

狩猟と同様に、山菜・野草・果実の採集は先住民族の食文化の根幹だ。例えばアミ族(阿美族)は「野菜の民」とも呼ばれ、100種類以上の山野草を食用・薬用として活用してきた。

近年は花蓮・台東の観光化とともに、先住民族料理が注目を集めている。猪肉の炭火焼き、小米酒(粟で作った酒)、山菜の炒め物などは、観光客向けの先住民族レストランや市場で体験できる。

在住日本人が訪れる際に

台東の知本温泉エリアや花蓮の原住民族文化園区では、先住民族の文化展示・体験プログラムが設けられている。「観光商品化された文化」という見方もあるが、実際に地域の人たちが担い手になっているプログラムも多い。

台湾旅行・在住の文脈では、西部の都市部だけでなく東部の山地・原住民族エリアに出てみると、台湾の重層的な歴史と文化の厚みが見えてくる。

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