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小学生が夜9時まで塾にいる社会——台湾の補習班(ブシバン)が家族構造を変えている

台湾の補習班(塾)文化は日本の学習塾を超える浸透度。小学生から高校生まで通い詰める構造と、日本人家庭が直面する教育方針のジレンマを分析します。

2026-05-31
補習班教育子育て受験

この記事の日本円換算は、1TWD≒4.8円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(TWD)の金額を基準にしてください。

台湾の小学校は16時に終わる。しかし16時に帰宅する子どもは少数派だ。多くは安親班(放課後預かり塾)に直行し、宿題を終わらせ、そのまま補習班(教科別の塾)に移動する。帰宅は21時。

教育部(文部科学省に相当)の統計によると、台湾の補習班は全国に約18,000箇所。人口2,300万人の台湾で、コンビニ(約13,000店)より多い。

補習班の種類と費用

種類対象月額目安
安親班(放課後預かり)小学生6,000〜12,000TWD(約29,000〜58,000円)
英語補習班小学生〜高校生3,000〜8,000TWD(約14,000〜38,000円)
數學補習班(数学)中学生〜高校生4,000〜10,000TWD(約19,000〜48,000円)
升學補習班(受験塾)高校生8,000〜20,000TWD(約38,000〜96,000円)
才藝班(習い事)全年齢2,000〜6,000TWD(約9,600〜29,000円)

安親班と英語補習班を組み合わせると、1ヶ月の教育費が15,000TWD(約72,000円)を超える。共働き家庭では安親班が事実上の保育機能を果たしているため、「通わせない」選択が難しい。

なぜここまで浸透したのか

台湾の大学進学率は約97%(教育部統計)。ほぼ全員が大学に行く社会で、差がつくのは「どの大学に行くか」だ。台灣大學(NTU)、清華大學、交通大學といった上位校への競争が、補習班文化を駆動している。

もう一つの要因は、共働き率の高さ。台湾の女性労働参加率は約51%(主計總處統計)。夫婦ともにフルタイムで働く家庭では、16時に子どもを迎えに行ける親がいない。安親班は教育と託児の両方を担っている。

日本人家庭のジレンマ

台湾の現地校に通わせている日本人家庭は、周囲の子どもが補習班に行く中で「うちも行かせるべきか」を悩む。行かせなければ友達と遊ぶ機会が減る。行かせれば日本語の学習時間が削られる。

日本人学校(台北日本人学校・高雄日本人学校)に通わせている場合は、補習班のプレッシャーは軽くなる。ただし日本人学校は小中学校のみで、高校からは日本に帰国するか、現地のインターナショナルスクールに進学するかの選択になる。

政府の規制と現実

教育部は補習班の営業時間を22時までと規定しているが、実態は23時近くまで営業している塾もある。また、未登録の「地下補習班」も存在し、料金が安い代わりに安全基準を満たしていないケースがある。

補習班を選ぶ際は、教育部の補習班検索システム(短期補習班資訊管理系統)で登録状況を確認できる。登録番号がない塾は避けたほうが無難だ。

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