台湾の外国人労働者(フィリピン・ベトナム系)と日本人の位置づけ
台湾で働く外国人の構造を解説。フィリピン・ベトナム・インドネシア系の技能実習・介護・製造業労働者の実態と、日本人ホワイトカラー在住者との立場の違い。台湾社会の外国人受入れの多層構造を読み解きます。
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台湾の外国人というと、日本人やアメリカ人の「ホワイトカラー在住者」をイメージする人が多いかもしれない。だが台湾の外国人労働者の大多数は、東南アジア出身の製造業・介護・家事労働者だ。
この二つの層は、同じ「外国人」という言葉で括られながら、全く異なる条件の下で台湾に在住している。
台湾の外国人労働者の規模
台湾政府の統計(2024年頃)によると、台湾在住の外国人労働者は約72〜75万人程度(変動あり)で、その大多数がベトナム・フィリピン・インドネシア・タイの出身者だ。
これらの労働者は「移工(外国人労働者)」として、主に以下の分野で働く。
- 製造業: 電子部品・繊維・食品工場
- 建設業: インフラ・建築現場
- 家事・介護: 「外籍看護工(ガイジー・カンフーゴン)」と呼ばれる外国人介護士
高齢化が進む台湾社会では、家庭内に外国人介護士を住み込みで雇う世帯が急増している。介護士の多くはフィリピンやインドネシア出身で、台湾人家庭での24時間勤務に近い形で働いている。
「フィリピン人の居場所」——小さなコミュニティ
台北の中山区(中山北路周辺)や台中、高雄の一部には、フィリピン・インドネシア・ベトナム人向けの食料品店、送金サービス店、礼拝所が集まるエリアがある。
日曜日になると、休日を過ごす東南アジア系労働者たちが集まる公共広場がある——台北の台北車站(台北中央駅)近くの広場はそのような場所として知られてきた。
日本人が属する「ホワイトカラー外国人」の層
日本人を含む欧米・日本・韓国系の在住外国人は、台湾政府の分類では「専門職外国人」として別扱いになる。就労ビザの種類、賃金水準、社会的位置づけが根本的に異なる。
台湾で働く日本人の多くは外資系企業、IT企業、日系企業、語学学校(日本語教師)などに勤めており、月収はTWD 40,000〜80,000(192,000〜384,000円)以上が一般的な水準だ。
台湾の法定最低賃金は2024年時点でTWD 27,470/月(約131,000円)に引き上げられており、東南アジア系労働者の賃金はこの水準前後になる。
台湾社会の受け入れ方
台湾社会は外国人に対して比較的オープンと言われる一方、東南アジア系労働者に対する差別や待遇問題が社会問題として議論されることもある。台湾のNGOや研究者、メディアがこの問題を継続的に取り上げている。
在住日本人がこうした構造に気づくきっかけは、ヘルパー(家事・育児補助)を雇う経験だったり、工場地帯のある地域を訪れることだったりする。
「外国人」という言葉の中に複数の現実がある。台湾社会の多層性を意識して生活することで、その国の見え方が少し変わる。