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客家文化——台湾の少数民族と苗栗の街

台湾の人口の約15〜20%を占める客家系台湾人。その文化・言語・独特の食文化と、客家の中心地・苗栗の生活環境を解説。

2026-04-29
台湾客家苗栗文化多民族

「台湾人」とひとくくりにされることが多いが、台湾の漢族系には「閩南(ミンナン)系」と「客家(ハッカ)系」という大きな区別がある。

閩南系は台湾語(台語)を話す人々で、人口の約70%を占める。客家系は客家語(クアンヤー)を話す人々で、約15〜20%とされる。ルーツは中国南部(広東省・福建省の山岳地帯)に遡り、数百年前に台湾へ移住した歴史を持つ。

客家の特徴——「移動する民族」のアイデンティティ

客家という言葉は「客の家」を意味する。移住を繰り返した歴史から、強い自己保存意識と固い家族・コミュニティの絆を持つとされる。

中国・台湾・東南アジア・オーストラリアなど世界各地に客家系の人々が散らばっており、「ユダヤ人のようなコミュニティ的連帯感がある」という比較が語られることもある。

台湾の歴史的な指導者——孫文・李登輝初代民選総統——にも客家系の出自を持つ人物が名を連ねている。

苗栗——台湾の客家文化の中心地

苗栗(ミャオリー)は台北から南へ約100km、台湾新幹線で約50分の台中の手前に位置する県だ。県全体で客家系住民の比率が高く、「客家の故郷」として知られる。

苗栗は台湾の中でも比較的静かな地方都市で、観光業より農業・製造業が基盤になっている。客家文化の体験ができる施設として、苗栗客家文化園区がある。

食文化では「客家料理」が台湾各地で知られており、特徴は:

  • 塩・醤油を効かせた濃い味付け(山岳地帯での保存食の影響)
  • 豚肉の保存食: 福菜(ふーちゃい)と呼ばれる乾燥漬物の豚肉煮込みが代表
  • 梅干し系の漬物: 台湾の梅干しは客家料理と深く結びついている
  • 擂茶(レーちゃ): 茶葉・ナッツ・穀物を石臼で挽いた客家伝統の飲み物

客家語の現状

客家語は台湾では「国語(中国語・普通話)」「台語(閩南語)」に次ぐ第三の言語として認識されており、客家委員会という政府機関が保護・普及を担っている。

ただし若い世代では客家語を日常的に話す人が減っており、「おじいちゃんおばあちゃんの言語」というイメージになっているとも言われる。台湾政府は学校教育での客家語授業を推進しているが、維持は容易ではない。

在住外国人にとっての接点

台北に住んでいると客家文化を意識することはほとんどない。ただし台湾の地方を旅行すると、閩南系とは異なる食・言語・建築様式に出会う機会がある。

苗栗の田舎や桃園市の新屋区(客家系住民が多い)を訪れると、伝統的な三合院(三方の建物が中庭を囲む客家式建築)が残っており、台北とは別の台湾の顔が見える。台湾に長く住むほど、こうした多層性が面白くなってくる。

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