台湾の国民健康保険(NHI)と外国人の加入——就労者は原則強制加入
台湾の国民健康保険(NHI)は外国人就労者も原則加入義務がある。保険料・給付内容・加入手続き・外国人の注意点を解説する。
この記事の日本円換算は、1TWD≒4.8円で計算しています(2026年4月時点)。
台湾の医療費が安いことは広く知られているが、その背景にあるのが全民健康保險(NHI: National Health Insurance)だ。日本の国民健康保険に近い制度で、台湾に合法的に住んでいる外国人も条件を満たせば加入できる——というより、就労者は原則として強制加入だ。
NHIとは
1995年に導入された全民健康保険制度。台湾に居住する全員(外国人含む)を対象に、医療費の大部分を保険でカバーする仕組みだ。加入率は99%以上と言われており、世界的にも高い普及率を誇る。
外国人の加入条件
外国人がNHIに加入できる(または義務がある)のは以下の場合:
- 台湾の雇用主に雇われた就労ビザ保持者: 就業初日から強制加入
- 6か月以上の居留証保持者(ARC): 居留許可証取得後、翌月1日から加入義務(ただし条件によって即時適用の場合もあり)
- 家族ビザで配偶者・扶養家族として滞在: 主被保険者に扶養家族として追加可能
就労ビザで台湾企業に就職した場合、雇用主が加入手続きを行うのが一般的。会社のHR担当者に確認すると確実だ。
保険料の仕組み
NHIの保険料は月収に対して計算される。2025年時点の保険料率は5.17%(変更がある場合あり)。このうち個人負担は約30%、雇用主が約60%、政府が約10%を負担する。
月収TWD 30,000(144,000円)の就労者の場合:
- 月額保険料合計: 約TWD 1,551(7,445円)
- 個人負担分: 約TWD 465(2,232円)
自営業や特定の在留資格の場合は個人が全額負担となり、計算方法が異なる。
NHIで受けられる医療
NHI加入後は、以下の医療サービスが低負担で受けられる:
- 外来診察(クリニック・病院): 自己負担TWD 150〜420(720〜2,016円)程度
- 入院: 一般病棟は30日以内で自己負担上限あり
- 歯科: 基本的な治療(虫歯・抜歯等)は保険対象。美容目的(ホワイトニング・矯正等)は対象外
- 処方薬: 保険適用の薬は低負担で処方可能
在住外国人がNHI加入後に日常的な外来受診をすると、医師の診察・処方薬の費用がTWD 200〜400(960〜1,920円)程度で済むことが多い。日本の国保とほぼ同等のコスト感だ。
健保カードの使い方
NHI加入後、健康保険カード(健保カード)が発行される。クリニック・病院での受付時に提示することで保険適用の処理が行われる。
健保カードにはICチップが内蔵されており、診療記録が記録される。紛失した場合は健保局(National Health Insurance Administration)または地区の健保センターで再発行手続きが必要だ。
NHI未加入・未納のリスク
加入義務があるにもかかわらず未加入のまま放置すると、遡及して保険料を徴収される場合がある。また台湾を出国後に再入国した際に未納分の請求が来るケースもある。
在台湾中に医療が必要になる場面は必ず来る。加入手続きは赴任・移住開始直後に済ませてしまうのが賢明だ。