台湾在住者の日本確定申告——租税条約なしの二重課税リスクと183日ルール
台湾在住日本人に特有の税務問題。日台間に租税条約がないことによる二重課税リスク、台湾の183日居住者認定と日本の非居住者判定の齟齬。
この記事の日本円換算は、1TWD≒4.7円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(TWD)の金額を基準にしてください。
海外在住者の日本確定申告の基本(非居住者の定義・申告が必要なケース・e-Taxの使い方)は日本確定申告ガイド(全国共通)を参照してください。この記事では台湾固有の情報を扱います。
日台間に租税条約がない(非常に重要)
日本と台湾の間には正式な租税条約が締結されていない。台湾は国家として国際的に承認されていない政治的な理由から、日本との間に公式の二重課税防止条約がない状態だ。
これは実務上、以下のリスクを意味する:
- 台湾で源泉徴収された給与所得が、日本でも課税対象になる可能性がある
- 二重課税を防ぐための「外国税額控除」は日本で申告すれば適用可能だが、条約ベースの自動的な調整ではない
- 具体的な税額・控除の適用は個人の状況によって異なる
台湾在住の日本人は、両国での課税について日台両方の税務を理解した税理士に確認することを強く勧める。
台湾の183日居住者認定と日本との齟齬
台湾の所得税法では、台湾に183日以上滞在した外国人を「居住者」として課税対象にする。一方、日本の非居住者判定も住所・居所の実態で行われるが、「1年以上海外に継続して居所がある」ことが要件だ。
この2つの基準は必ずしも一致しない。台湾での滞在が183日を超えて台湾居住者として課税される一方、日本側では居住者と判定されるケースがあり得る。台湾への移住初年度・帰国前後の時期は特に注意が必要だ。
台湾での確定申告
台湾居住者(183日以上)は毎年5月が所得税の申告期間だ(綜合所得稅申報)。就労者の場合、1〜2月に雇用主が発行する所得証明(扣繳憑單)をもとに申告する。
台湾の所得税は最大40%の累進課税だが、各種控除(基礎控除・扶養控除等)が充実しており、実効税率は収入水準によってかなり低くなる。非居住者(183日未満)は一律20%の課税となる。
住民税との関係
日本を転出した年の1月1日時点で住民票がなければ、その年の住民税は課税されない。台湾移住の際も、転出届の提出時期(出国前に行う)が住民税の節税に影響する。