アジア初の同性婚合法化——台湾の多様性と日本との比較
2019年、台湾はアジアで初めて同性婚を法制化しました。その社会的背景、現在の状況、そして日本との制度比較を在住者・訪問者向けに解説します。
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2019年5月17日、台湾で同性カップルの婚姻が法律上可能になった。アジアで初めての出来事だった。この日は国際反ホモフォビアデーでもあり、象徴的な日付だった。台北市庁前広場では多くのカップルや支持者が祝福し、世界から注目を集めた。
法制化の経緯
台湾の同性婚合法化は一夜にして実現したわけではない。2016年の司法院(憲法裁判所)への提訴から始まり、2017年に司法院大法官(憲法裁判官)が「同性カップルに婚姻の権利を認めないのは違憲」という解釈を示した。これを受けて、2年以内に法改正を求める判断が下った。
2018年の住民投票では同性婚に反対する3つの提案が可決されるという複雑な経緯もあったが、最終的に立法院(議会)が2019年5月に「司法院釈字第748号施行法」を可決し、法制化が実現した。
現在の制度内容
2019年の法律では、同性カップルの婚姻届け出が可能になった。ただし当初は外国人との婚姻については制限があり、相手の国が同性婚を認めていない場合は台湾での登録ができないという問題があった。
2023年には養子縁組に関する規定が一部緩和され、同性婚カップルが実子の親権を持てるケースが広がった。ただし特別養子縁組の完全な権利については、依然として制限が続いている。
台湾のLGBTQ+ コミュニティ
台湾プライドは「アジア最大規模のプライドパレード」とされており、例年10月の台北で開催される。2024年の参加者数は主催者発表で約20万人以上とされた。外国人参加者も多く、日本・韓国・香港・シンガポールからの訪問者も目立つ。
台北市内のダーアン区・中山区周辺には、LGBTQ+フレンドリーなバー・カフェ・宿泊施設が集まるエリアがある。「彩虹(レインボー)」という言葉がキーワードになることが多い。
日本との比較
日本では2024年時点で同性婚の法制化は国レベルでは実現していない。複数の地方自治体がパートナーシップ制度を導入しているが、法的な婚姻関係とは異なる。
台湾在住の日本人LGBTQ+カップルの中には、台湾で法的な婚姻登録を行うことを選ぶ人もいる。ただし日本での法的効力については、現時点では日本の法制度上承認されない状況が続いている。
社会的雰囲気
台湾社会が同性婚に対して一枚岩かというと、そうではない。宗教的・伝統的な価値観から反対する人も一定数いる。それでも、若い世代を中心に「誰がどんな相手と付き合おうが個人の自由」という意識が浸透しており、日常的な差別的発言への社会的な目は厳しくなっている。
台湾在住者として、この社会の空気感を理解しておくことは、現地での人間関係を深めるうえでひとつの背景知識になる。