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不動産投資

台湾不動産投資ガイド——日本人は購入可、ただし利回りは世界最低水準

台湾で不動産投資を検討する日本人向けに、互恵原則による購入資格・房地合一税2.0・非居住者の高税率・台北の超低利回り・物件価格推移を解説。台湾不動産の現実と投資判断のポイントまで。

2026-03-26
不動産投資台湾台北房地合一税賃貸利回り互恵原則非居住者

この記事の日本円換算は、1TWD≒5.0円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(TWD)の金額を基準にしてください。

台湾の不動産は「親日国で安心」「日本から近い」という理由で関心を持つ人が多い。実際、日本人は互恵原則により台湾で不動産を購入できる。

ただし、台湾の不動産投資には独特の課題がある。台北の賃貸利回りはモナコと並ぶ世界最低水準。非居住者の売却益課税は最大45%。2025年には取引件数が前年比28%減少し、市場が冷え込んでいる。

この記事では、台湾で不動産投資を考える日本人が知っておくべきルール・税金・利回り・リスクを整理する。

外国人の所有ルール——互恵原則で日本人はOK

互恵原則とは

台湾では、外国人の不動産購入に「互恵原則(平等互恵)」を採用している。台湾人が相手国で不動産を購入できるなら、相手国の人も台湾で購入できる、という考え方。

日本は台湾人の不動産購入に制限を設けていないため、日本人は台湾で不動産を購入する資格がある。内政部が管理する互恵国リストに日本は含まれている。

買えるもの・買えないもの

物件タイプ外国人の購入備考
マンション(大楼・公寓)最も一般的な投資対象
一戸建て土地付きの場合は用途制限あり
商業用不動産
土地(住宅用・商業用)条件付き可内政部の許可が必要
林地・漁場・鉱山・水源地不可法律で外国人への譲渡を禁止
軍事要塞区域・国境付近不可

マンション(建物部分)の購入は比較的シンプルだが、土地の購入は内政部への許可申請が必要になる。マンションを購入する場合も、区分所有権に含まれる土地の持分があるため、厳密には土地取得も伴う。ただし、マンション購入に伴う土地持分の取得は通常スムーズに処理される。

注意点

  • 不動産を購入しても台湾の居住権やビザは取得できない
  • 台湾に住所がない場合、現地の代理人が必要になるケースがある
  • 台湾での金融取引には外国為替規制が適用される

税金——非居住者に厳しい構造

台湾の不動産税制は、非居住者(年間183日未満の滞在者)に対して明確に不利な設計になっている。

購入時の税金

税目税率備考
契税(Deed Tax)6%建物の評価額に対して
印紙税0.1%契約書に対して
登記費用約0.1%

契税は建物部分の公告現値(政府評価額)に対して6%。市場価格より評価額が低いため、実質的な負担は市場価格の1〜2%程度になることが多い。

保有時の税金

税目税率備考
房屋税(建物税)住宅用: 1.2% / 非自住: 1.5〜4.8%建物の課税現値に対して
地価税(土地税)自用: 0.2% / 一般: 1〜5.5%土地の公告地価に対して

非居住者が投資用物件を持つ場合、「自住」(自己居住用)の低税率は適用されない。房屋税は1.5〜4.8%、地価税は1〜5.5%の一般税率が適用される。

売却時の税金(房地合一税2.0)

2016年以降に取得した物件の売却益には「房地合一税2.0」が適用される。非居住者の税率は非常に高い。

保有期間非居住者の税率居住者の税率(参考)
2年以内45%45%
2年超〜5年以内35%35%
5年超〜10年以内35%20%
10年超35%15%

居住者は5年超で20%、10年超で15%まで下がるが、非居住者は何年保有しても最低35%。長期保有のメリットが居住者に比べて大幅に小さい。

さらに、非居住者には基礎控除や各種控除が適用されない。

土地増値税(Land Value Increment Tax / LVIT)

土地の売却時には、房地合一税とは別に土地増値税がかかる。

保有期間税率
20年以内20〜40%(増値率に応じて累進)
20年超長期保有控除あり

土地の公告現値の増加分に対して課税される。実際の売買価格ではなく、政府が毎年発表する公告現値ベースで計算されるため、市場価格の上昇分すべてに課税されるわけではない。ただし、房地合一税との二重課税を避けるため、土地増値税額は房地合一税から控除できる。

賃貸収入にかかる税金

項目内容
非居住者の所得税率一律18%(源泉徴収)
居住者の所得税率(参考)累進5〜40%
控除非居住者は基本的に控除なし

非居住者の賃貸所得は18%の源泉徴収で完結する。居住者に比べると税率自体は高くないが、経費控除が使えない分、実質負担は重くなりやすい。

賃貸利回り——台北は世界最低レベル

主要都市のグロス利回り(2025年Q2)

都市物件タイプグロス利回り
台北市アパート平均約2.1%
台北市小型(1ベッドルーム)約2.4%
台北市ファミリー(3ベッドルーム)約1.8%
台湾全体平均約2.2%

台北の賃貸利回りはモナコと並んで世界最低水準。「3%を超えたら運がいい」というのが現実。物件価格が極めて高い一方、賃料はそこまで上がっていないためにこうなる。

ネット利回りの目安

グロス2%程度から管理費・税金・修繕費・空室損を差し引くと、ネット利回りは1%前後、場合によってはマイナスになる。キャッシュフロー目的の投資には向かない市場。

台中・高雄など地方都市

地方都市は台北より物件価格が安い分、利回りはやや高くなるが、それでも3〜4%程度。東南アジアの主要都市と比較すると見劣りする。

物件価格の推移

台北の価格水準(2025年)

指標数値
台北市 平均価格約77万TWD/坪(約385万円/坪)
信義・松山区(プライムエリア)90〜110万TWD/坪(約450〜550万円/坪)
㎡換算(台北市平均)約23.3万TWD/㎡(約117万円/㎡)

※ 1坪 ≒ 3.3㎡

2025年の市場動向

台湾の不動産市場は2025年に転換点を迎えた。

  • 台北の価格は前年比+0.8%とほぼ横ばい
  • 全国の不動産取引件数は2025年1〜9月で前年比28.1%減の194,976件
  • 住宅価格指数は2025年Q4に163.25に下落(Q3の168.73から低下)
  • 南部の都市(高雄・台南)では価格下落も始まっている

2026年の見通し

供給過多が続く見込みで、特に新築マンションの大量供給が価格を押し下げる圧力になっている。2026年半ばまでこの調整局面が続くとの予測がある。台北は底堅いが、地方都市は下落リスクがある。

購入プロセスの流れ

Step 1: 互恵国であることの確認 日本人は互恵国に該当するため、内政部の互恵国リストに載っていることを確認すればOK。

Step 2: 物件選定・売買契約の締結 不動産仲介業者を通じて物件を選定し、売買契約を締結する。契約時に通常10%のデポジットを支払う。

Step 3: 内政部への許可申請(土地を含む場合) 土地の取得を伴う場合(マンションの土地持分を含む)は、内政部に購入許可を申請する。審査には数週間〜数ヶ月かかることがある。

Step 4: 残金支払い・所有権移転登記 許可取得後、残金を支払い、地政事務所(Land Administration Office)で所有権移転登記を行う。

Step 5: 税金の納付 契税・印紙税を支払う。

ファイナンス(住宅ローン)

台湾の銀行は外国人にも住宅ローンを提供するが、条件は厳しい。

  • 頭金: 30〜40%が一般的(LTV 60〜70%)
  • 台湾での収入証明が求められる(現地の給与明細、労働契約等)
  • 海外の収入のみでは審査が通りにくい
  • 2024年9月の中央銀行による信用規制強化で、2件目以降はLVR上限がさらに引き下げ

リスクと注意点

1. 利回りの低さ

台北のグロス利回り2%は、管理費・税金を差し引くとキャッシュフローがほぼゼロになる。賃貸収入ではなくキャピタルゲイン頼みの投資になりがち。だが、2025年以降の市場では価格上昇も見込みにくい。

2. 非居住者への高税率

売却益課税が最低35%(2年以内は45%)。居住者が10年超で15%まで下がるのに対し、非居住者は何年持っても35%。この税率差は投資リターンに大きく影響する。

3. 市場の調整局面

2025年に取引件数が3割近く減少している。供給過多と信用規制強化のダブルパンチで、短期的には価格が横ばい〜下落する可能性がある。特に地方都市のリスクが高い。

4. 為替リスク

TWD/JPYは過去5年で大きく変動している。不動産のリターンが為替で打ち消されるリスクは常にある。

5. 住宅ローンのハードル

台湾の収入証明がないとローンが組みにくい。現金購入が前提になるケースも多く、資金効率(レバレッジ効果)が限定的になる。

6. 地震リスク

台湾は地震多発地帯。建物の耐震性能、地震保険の有無は必ず確認する必要がある。2024年4月の花蓮地震(M7.2)では建物被害も発生している。

まとめ——台湾不動産投資の向き・不向き

台湾は日本人にとって購入のハードルが比較的低い国だが、投資リターンの面では厳しい市場。利回りは世界最低水準、非居住者の税率は高く、市場は調整局面にある。

向いている人:

  • 台湾に長期居住する予定があり、自己居住+資産形成を兼ねたい
  • 台湾で居住者ステータスを取得でき、売却時の税率を15〜20%に抑えられる
  • 台北の優良立地で10年以上の超長期保有を前提にキャピタルゲインを狙う

慎重に検討したほうがいい人:

  • キャッシュフロー(賃貸収入)を重視している(利回りが低すぎる)
  • 非居住者のまま投資したい(売却益課税35%が重い)
  • 数年以内の売却を想定している(45%の課税+市場調整リスク)
  • 東南アジアなど他の市場と利回りを比較検討している

最初のステップとしては、自分が「台湾居住者」になれるかどうかを確認すること。居住者と非居住者で税率が大きく変わるため、ここが投資判断の分岐になる。そのうえで、台北のどのエリア・どの物件タイプを狙うかを現地の不動産仲介業者と相談するのが現実的な進め方になる。


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