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台湾のエネルギー転換——原発廃止と太陽光・LNG推進の現在地

台湾は2025年に全原発廃止の方針を進めてきましたが、電力不足と気候変動対策の両立に直面しています。再生可能エネルギーへの転換の現状と在住者への影響を解説します。

2026-04-30
台湾エネルギー原発再生可能エネルギー太陽光

この記事の日本円換算は、1TWD≒4.8円で計算しています(2026年4月時点)。

台湾のエネルギー政策は、福島原発事故後の2014年頃から「脱原発」を方針に据えてきた。しかし電力需給の逼迫と半導体産業の電力消費拡大が重なり、エネルギー転換は予定通りに進んでいないのが現実だ。

台湾の電源構成

台湾の電力供給の大半は台湾電力(台電)が担っており、台湾電力の発表によると2024年時点の電源構成の概算は以下の通り。

  • 天然ガス(LNG):約43%
  • 石炭:約30%
  • 再生可能エネルギー:約15〜17%(太陽光・風力中心)
  • 原子力:約5〜6%(廃炉移行中)
  • その他:残余

再エネ比率20%以上という政府目標に対して、現状はやや下回っている状況が続いている。

原発廃止の経緯

民進党(DPP)政権は「2025年脱原発」を政策に掲げ、第1・第2・第3原発の段階的閉鎖を推進してきた。2024年末に第三核電の閉鎖が完了し、稼働中の原発はゼロになった。

ただし、2025年の電力不足リスクを受けて、国民党(KMT)や一部の世論から「原発延命」を求める声も根強い。エネルギー政策は台湾の政治的論点の一つになっており、在住者が選挙報道で頻繁に目にするテーマだ。

台湾の太陽光・洋上風力

太陽光発電は屋根上パネルが急増しており、特に南部(嘉義・台南・屏東)での導入が著しい。農地・魚池の上に設置する「漁電共生」(農業・水産と太陽光を組み合わせるモデル)も拡大している。

洋上風力は台湾海峡の強風を生かした開発が進んでおり、Ørsted(デンマーク)・Vestas等の欧州大手が参入。澎湖水道周辺を中心に複数のプロジェクトが進行中で、2030年代に向けて本格的な発電容量拡大が期待されている。

電力不足・停電リスク

台湾では夏季(7〜9月)に電力需給がひっ迫し、供給予備率が低下するリスクが毎年あることは在住者として知っておきたい。2021年・2022年に複数回の計画停電・意図せぬ停電が発生し、各地でUPS(無停電電源装置)の売り上げが急増した。

台電の供給予備率はリアルタイムでウェブ公開されており、「供給予備率6%以下で注意、供環率1桁台で停電リスク」と覚えておくと目安になる。

TSMCと電力問題

台湾の電力問題を語るうえでTSMC(台湾積体電路製造)は外せない。同社は台湾の総電力消費の約8%(2023年推計)を占めるとされ、電力需要の伸びに拍車をかけている。一方でTSMC自身もRE100目標(100%再エネ化)を掲げており、太陽光PPA(電力購入契約)や風力投資を積極的に行っている。

在住者の生活への影響

電気料金は日本と比較して低く、家庭用は段階料金制で月額2,000〜6,000TWD(約9,600〜28,800円)程度(家族構成・エアコン使用量による)。夏の電力不足時に停電が起きると、エアコンが止まる台湾の夏は厳しい。

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