攤販(タンファン)——台湾の路上経済がなくならない理由
台湾の街角には今も攤販(屋台・露天商)が多い。規制との戦い、夜市との棲み分け、そして都市のインフォーマル経済として機能し続ける攤販の現実を探る。
この記事の日本円換算は、1TWD≒4.7円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
台湾の住宅街を歩いていると、曲がり角に果物を並べたカートがある。朝の公園の入口に豆花(ドウホア、豆腐プリン)の屋台が出ている。夕方のオフィス街の路地に弁当(便當)の移動販売車が止まっている。
これらはすべて「攤販(タンファン)」——固定店舗を持たない行商・露天商だ。
法律と現実の間
台湾の都市では攤販の設置は基本的に許可制で、無許可の設置は法的にグレーな面がある。しかし現実として、生活の一部として社会に根づいた攤販を完全に排除する動きは起きていない。
地方自治体によって取り締まりの厳しさが異なり、「黙認」状態で長年営業を続ける攤販も多い。定期的な市場・市集(シージー)は許可制で合法的に運営されている。
価格の合理性
攤販の最大の魅力は価格だ。固定コスト(家賃・内装)がないため、品物の仕入れコストに最小限の利益を乗せるだけの価格設定ができる。
季節の果物(芒果・釋迦・蓮霧など)を路上の果物屋で買うと、スーパーの6〜7割の価格で手に入ることも多い(推定)。毎朝通勤路の攤販で朝食を調達するライフスタイルは、台湾人の日常に当然のように組み込まれている。
夜市との棲み分け
夜市は「観光化された攤販の集積地」として機能するが、日常の攤販は住宅街・オフィス街・学校の近くに散在する。夜市は非日常的な食の体験、街の攤販は生活インフラとしての役割——異なるポジションで共存している。
台湾の都市空間が生き生きして見えるのは、路上に人がいるからだ。攤販は都市を「使う人の空間」に変え続ける存在でもある。