台風で窓が割れても保険が降りない——台湾の住宅保険が想定する「災害」の定義
台湾の住宅保険(住宅火災保険・地震保険)のカバー範囲は日本と大きく異なります。台風・地震・水害で保険金が支払われる条件と、在住者向けの保険選びを解説。
この記事の日本円換算は、1TWD≒4.8円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(TWD)の金額を基準にしてください。
台湾で賃貸に住んでいる日本人の多くは、住宅保険に入っていない。「台風が来たら大家が直してくれるだろう」。その想定は半分正しく、半分間違っている。
台湾の住宅火災及地震基本保險(住宅火災・地震基本保険)は、住宅ローンを組むと加入が義務化される。つまり持ち家のオーナーは入っている。しかし、賃借人の家財や一時的な生活費用をカバーする「借家人賠償責任保険」に相当する仕組みは、任意加入だ。
地震保険のカバー範囲
台湾の住宅地震基本保険は、保険金額が150万TWD(約720万円)で固定されている。一律だ。台北の1億TWDのマンションでも、台南の300万TWDのアパートでも、支払上限は同じ150万TWD。
しかもこの保険は「全損」または「半損」に該当する場合にしか支払われない。壁にヒビが入った程度では対象外。判定は政府の認定を受けた鑑定人が行う。
台風被害の落とし穴
住宅火災保険には「颱風及洪水(台風・洪水)」の特約が付帯されていることが多い。しかし「風で窓が割れた」「雨漏りした」レベルでは免責額(自己負担額)を下回るケースが大半だ。
免責額は通常10,000〜50,000TWD(約48,000〜240,000円)。窓ガラスの修理費が15,000TWD、免責額が20,000TWDなら、保険金はゼロ。
賃借人が取るべき対策
家財保険(動産保険)を個別に契約する。 国泰產險、富邦產險、新光產險などが提供しており、年間保険料は2,000〜5,000TWD(約9,600〜24,000円)程度。パソコン・家電・衣類などの家財をカバーできる。
契約時のポイントは以下の通り。
- 保険金額の設定: 家財の総額を概算して設定する。過少だと実際の損害をカバーしきれない
- 免責額: 低いほうが小さな被害にも対応できるが、保険料は上がる
- 地震・台風の特約: デフォルトでは含まれていないことがある。明示的に特約を付けること
- 契約期間: 1年更新が一般的。引越し時に住所変更を忘れると無効になる場合がある
大家との責任分界
台湾の民法では、建物の構造に起因する損害(壁の倒壊、屋根の崩落等)は大家の修繕義務に含まれる。しかし「台風で飛んできた物が窓を割った」ような場合、大家が負担するかどうかは契約内容による。
賃貸契約書の「修繕責任」条項を入居前に確認すること。不動産仲介を通さない直接契約では、この条項が曖昧なケースが多い。