台湾の台風——年平均3〜4回が直撃する島での生活準備
台湾は年間3〜4回の台風が直撃する。被害の実態、行政の対応、在住者が実際にやっている備えをまとめます。
この記事の日本円換算は、1TWD≒4.7円で計算しています(2026年4月時点)。
台湾に移住した日本人がよく言う。「地震は台湾の方が多い気がするけど、台風は…日本の方がひどくない?」。感覚的にはそういう印象を持つ人が多いが、統計を見ると台湾は世界でも有数の台風直撃国だ。年平均3〜4個の台風が台湾に直接上陸または接近し、強い年には5〜6個に達する。
台風シーズンと実態
台風シーズンは6月〜10月。ピークは8〜9月で、この時期は毎年のように大型台風が通過する。台湾の地形(南北に中央山脈が走る)の影響で、東部(花蓮・台東)は直接的な暴風雨を受けやすく、西部(台北・台中・高雄)は山脈に遮られる形で風が弱まることも多い。
ただし山脈を越えた台風が「フェーン現象」のように西側を直撃するケースもあり、「東側だから安全、西側だから安全」は単純には言えない。
| 年 | 大型台風の例 | 被害規模 |
|---|---|---|
| 2015年 | 台風スーデロール | 死者6人、農業被害大 |
| 2016年 | 台風マラカス・メアリー・メーギー | 複数上陸、メーギーで死者28人 |
| 2019年 | 台風ミタグ | 台北直撃、都市部に浸水 |
| 2024年 | 台風コーヌ | 花蓮で土砂崩れ被害 |
行政の対応——「台風假」制度
台湾独特の制度が**台風假(タイフォンジア)**だ。台風が接近すると、各県市政府が気象条件を判断して「台風假」を宣言する。宣言が出ると、学校・公務員・多くの民間企業が休みになる。「仕事休みたいけど仕事を休む理由がない」という心配は不要で、台風假の日は社会全体が動きを止める。
日本のように「交通機関が止まっても出社しろ」という圧力は台湾では薄い。むしろ台風假が出ているのに外出するのは危険だとみなされる。台北に住む日本人が「台風假になったら皆でウチでご飯食べる」という過ごし方をするのも、台湾に馴染んだ証拠だ。
在住者が実際にやっている備え
水の確保:台風接近前夜に大型のペットボトルや鍋に水を溜める。断水が数時間〜数日続くことがある。
食料備蓄:カップ麺・缶詰・レトルトを数日分。台風假が複数日続くこともあるため、最低3日分は手元に置いておく。
窓の養生:日本で言うテープ補強。台湾の窓は日本より開口部が大きいものが多く、強風で枠ごと破損するリスクがある。賃貸の場合、大家や管理組合が対応してくれることもある。
充電とモバイルバッテリー:停電は普通に起きる。スマートフォン・モバイルバッテリーを満充電にしておく。懐中電灯も一つあると安心だ。
情報収集:中央気象局の公式サイトまたはアプリ(台灣好天氣など)で進路を確認できる。日本語対応のNHKワールドでも台湾の台風情報は流れるが、ローカルの情報の方が詳細だ。
旅行者への注意
台風シーズンに台湾を旅行する場合、航空便の欠航・遅延は普通に起きる。台湾桃園国際空港は強風に対して比較的対応力があるが、LCC便を中心にキャンセルが出やすい。花蓮・台東エリアへの移動は特に天候の影響を受けやすいので、スケジュールに余裕を持つことが大切だ。
「台風が来る台湾は怖い」より「台風への対処が文化として根付いた台湾」という見方の方が正確だ。備えがあれば、台風はそれほど恐れるものではない。