アメリカで老後の準備をどうするか——401kとRoth IRAの基礎知識
アメリカで働くなら401kとIRAの仕組みは必須の知識です。日本人在住者が特に注意すべき「帰国後の引き出し税務問題」も含めて、退職金制度の全体像を整理します。
この記事の日本円換算は、1USD≒157円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
アメリカで就職すると、入社数週間以内に「401kに加入しますか?何%拠出しますか?」という選択を迫られる。
日本の厚生年金と似て非なるこの制度を理解せずに放置すると、数十年後に大きな差が出る。
401kとは
401kは雇用主を通じた確定拠出型の退職金制度だ。名前は内国歳入法(Internal Revenue Code)のSection 401(k)に由来する。
仕組みの概要:
- 給与の一定割合を税前(Pre-tax)で積み立て、投資運用する
- 運用益は非課税(引き出し時に初めて課税)
- 多くの雇用主が「マッチング(employer match)」として、従業員の拠出額の一定割合を上乗せしてくれる
- 2024年の拠出上限は年23,000ドル(50歳以上はキャッチアップ拠出で追加可能)
雇用主マッチングは実質的に「無料のお金」で、使わないのは損だ。少なくともマッチング分を引き出す限度まで拠出することは、多くのファイナンシャルアドバイザーが推奨する。
Roth 401kとTraditional 401kの違い
Traditional 401k:積み立て時に非課税、引き出し時に課税。 Roth 401k:積み立て時に課税済み(税後)、引き出し時は非課税。
「今の税率が低い」と思うなら従来型、「将来の税率が低くなると思う」ならRoth型が有利、という判断が基本だ。
IRA(Individual Retirement Account)
雇用主を通じない個人の退職金口座。2024年の拠出上限は年7,000ドル(50歳以上は8,000ドル)。Roth IRAは所得制限があり(2024年の単身者は年収161,000ドル超で逓減・消滅)、高所得者は全額拠出できない場合がある。
日本人在住者の特別な注意点
将来日本に帰国する場合、401kの資金の扱いが複雑になる。
- 米国非居住者になってから引き出すと、米国で源泉徴収される(条約による軽減の可能性あり)
- 日本での税務申告でも申告義務が生じる可能性がある
- FBARやFATCAの申告義務が絡む場合がある
帰国前後の税務処理は専門家(国際税務に詳しいCPA)に相談することを強く勧める。401kの放置・無申告は後で大きな問題になり得る。在米中に整理しておくのが最も楽だ。