アメリカ人は有給休暇を「使い切らない」——世界一の有給消化率の低さとその理由
アメリカは法律で有給休暇の最低日数を定めていない唯一のOECD加盟国だ。それでも与えられた有給を使い切らない文化がある。在米日本人の休暇取得と職場文化の現実を解説する。
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アメリカはOECD加盟国の中で唯一、連邦法による有給休暇の最低日数規定がない国だ(州法で設けている州は一部ある)。
多くの企業は「任意の福利厚生」として有給を提供しているが、平均的には年10〜15日程度とされる(Bureau of Labor Statistics等の調査より)。
さらに驚くことに、与えられた有給休暇を使い切らないアメリカ人が多い。「使えない文化」がある。
なぜ使い切らないのか
「休むと職場から遅れをとる」という不安が一つの理由として挙げられる。特にレイオフ(解雇)が比較的容易なアメリカ企業文化では、「休みを取りすぎると評価が下がる」「いつでも代替できると思われる」という恐怖感がある。
「Work Martyr(仕事殉教者)」という言葉があるほどで、「自分だけが支えている」と感じながら休まない姿勢を美徳と感じる文化的傾向を指す。
Unlimited PTOという罠
近年のテック企業を中心に「Unlimited PTO(無制限有給休暇)」を福利厚生として掲げる企業が増えた。
しかし調査では、Unlimited PTOを提供する企業の社員は上限設定ありの企業の社員より少ない日数しか休まない傾向があるとされる。「いつ休んでも目立つ」「何日が普通かわからない」という心理的ハードルが生じるためだ。
在米日本人の休暇文化
在米日本人の中には「日本では有給が取りにくかったが、アメリカでは比較的取りやすい」と感じる人もいれば「アメリカでも職場の空気によって取りにくい」と感じる人もいる。
職場のカルチャーが企業・部署・上司によって大きく異なるため、一概には言えない。「同僚がどれくらい休んでいるかを観察して合わせる」という適応方法がよく語られる。
夏の長期休暇
アメリカでは7〜8月に2週間程度の夏休みを取る人が多い(特に子どものいる家庭)。学校の夏休み(6〜8月)に合わせた家族旅行が定番だ。
「Vacation(バケーション)」は積極的に取る文化がある一方で、それが年1〜2回の「長期旅行」に集中しがちで、日本の「週1で定時退社する」スタイルとは異なる分布になる。