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カリフォルニアからテキサスへ。アメリカ人が大移動している理由を数字で読む

コロナ後にカリフォルニアからテキサスへの人口移動が加速した。州税ゼロ、家賃、生活費の差。日本人駐在員視点で両州を比較し、どちらで暮らすべきかを数字で考える。

2026-04-09
アメリカカリフォルニアテキサス生活費州税エリアガイド移住

この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(USD)の金額を基準にしてください。

USセンサス局のデータによると、2020〜2023年にかけてカリフォルニアは約50万人の人口を失い、テキサスは約130万人増加した。企業もElon MuskのテスラとSpaceXがカリフォルニアからテキサスへ本社を移したのをはじめ、移転が続いた。何が起きているのか。

カリフォルニアの「推す力」

カリフォルニアを出る人が増えた理由は、一つの要因ではない。いくつかの「そろそろ限界」が同時に来た結果に見える。

住宅コスト: ロサンゼルス郡の一戸建て中央値は2024年時点で$800,000(約1億2,400万円)前後。サンフランシスコ・ベイエリアはさらに高く、$1,200,000〜$1,500,000(約1億8,600万〜2億3,250万円)が一般的なエリアも多い。

州所得税: カリフォルニアの州所得税は最大13.3%で全米最高水準。連邦税と合算すると最高税率が50%を超える。

生活コスト: ガソリン税(1ガロン当たり0.59ドルの州税)は全米最高水準。食料品の物価も全国平均より高い。

治安: 特定のホームレス問題と犯罪率の悪化は、サンフランシスコ・LA一部地域では体感レベルで悪化したと感じる居住者も多い。

テキサスの「引く力」

テキサスが人を引き寄せる最大の要因は数字がシンプルだ。

州所得税なし: テキサスには州所得税がない。年収$200,000(約3,100万円)の場合、カリフォルニアとの税負担差は年間$20,000〜$25,000(約310万〜388万円)以上になることがある。

住宅価格: ダラス郊外やオースティン近郊では、カリフォルニアの半額以下で一戸建てが買えるエリアもある(2024年時点)。ただしオースティンはコロナ後の価格急騰が起き、2022〜2023年に下落局面もあった。

企業集積: テスラのギガファクトリー、サムスン半導体工場、Appleの新キャンパス(オースティン)、デルの本社(ラウンドロック)など、大企業の進出が雇用を生んでいる。

比較項目カリフォルニア(LA)テキサス(ダラス)
州所得税最高税率13.3%0%
一戸建て中央値(2024年)$800,000〜(約1.24億円〜)$350,000〜(約5,430万円〜)
賃貸2LDK相場$2,500〜$4,000/月$1,500〜$2,500/月
固定資産税率〜1.1%(Prop 13適用後)1.6〜2.5%
気候温暖・乾燥夏は酷暑(40℃超)・台風期あり

固定資産税という落とし穴

「テキサスは税金が安い」は半分だけ正しい。

州所得税はゼロだが、固定資産税(Property Tax)は全米でも高い部類に入る。テキサスの固定資産税は物件評価額の1.6〜2.5%程度。カリフォルニアのProp 13が購入時評価額の1.1%に固定しているのと比べると、テキサスは物件価格の上昇と連動して税額が上がっていく。

例えば$400,000(約6,200万円)の家を持った場合、年間固定資産税はカリフォルニアなら$4,400、テキサスなら$7,200〜$10,000になりうる。この差は収入に対する所得税の差で十分に埋まるケースが多いが、理解してから選ぶ必要はある。

日本人駐在員視点での比較

日本人駐在員が多いエリアはそれぞれ異なる。

カリフォルニア: ロサンゼルスはトーランス・ガーデナ・アーバインに日系企業が集中し、日本語対応クリニック・日本食スーパー・補習校の充実度は全米でも最高レベル。医療保険(会社の福利厚生)があれば医療は受けやすいが、自己負担時のコストは高い。

テキサス: ダラス(プレイノ・アレン)、ヒューストンに日系企業・日本人コミュニティがある。LAより規模は小さいが、日本食料品店(HマートやMitsuwa)も展開している。コミュニティはコロナ後に拡大傾向。

気候の問題は看過できない。テキサスの夏は7〜9月に気温40℃を超える日が続く。2021年2月には寒波(Winter Storm Uri)で電力网が崩壊し、数百人が死亡、多数が水道凍結・停電に見舞われた。インフラの脆弱性はリスクとして認識しておく必要がある。

「移動」はコストでもある

カリフォルニアを出ることで得られる経済的メリットは確かにある。ただし移動自体のコスト(引越し費用、新しい家のデポジット、車の再登録、子どもの転校)は一度きりの出費として発生する。

また、カリフォルニアのネットワーク(特にシリコンバレーのテック系)を離れることの機会損失は、業種によっては大きい。ベンチャーキャピタルや新興テック企業との接点はまだシリコンバレーに集中している部分がある。

「テキサスに移れば幸せになれる」ではなく、「何を最優先にするか」で選ぶ問いだ。家族の生活コスト最適化なら答えは変わり、テック系のキャリア発展を最優先するなら別の答えが出る。


参考: US Census Bureau「Population and Housing Unit Estimates」、California Franchise Tax Board「Tax Rates」、Texas Comptroller「Property Tax in Texas」、Zillow「Market Overview Data(2024年)」

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