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カウンティフェア——農業品評会がアメリカの田舎を映す鏡になっている

毎年夏から秋にかけて全米で開催されるカウンティフェア。巨大カボチャコンテスト、家畜の品評会、移動遊園地が一体になったこのイベントは、農村アメリカのショーケースです。

2026-05-13
カウンティフェア農業地方文化

この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(USD)の金額を基準にしてください。

オハイオ州のカウンティフェアでは、10代の少年少女が自分で育てた豚を引き連れて品評会に出場します。優勝した豚はオークションにかけられ、地元の企業が$10,000(約155万円)以上で落札することもある。落札された豚は食肉処理されます。少年は泣きます。でも来年もまた出場する。

この光景は、アメリカの農村部では特別なことではありません。

カウンティフェアとは

County Fair(郡の祭り)は、各郡(County)が主催する農業・産業の見本市と祭りを兼ねたイベントです。全米で約3,000のカウンティフェアが毎年開催されています。開催時期は7月〜10月が中心で、規模は数千人から数十万人までさまざまです。

最大規模のものとしてはアイオワ州のState Fairが有名で、11日間の開催期間中に100万人以上が来場します(Iowa State Fair公式発表)。

何が行われるのか

家畜品評会: 牛、豚、鶏、羊、ヤギ等を地元の農家や4-H(若者向け農業教育プログラム)のメンバーが出品し、体格・毛並み・品種の純度等を審査する。子どもたちが数ヶ月かけて育てた動物を審査員の前で引き回す姿は、カウンティフェアの原風景です。

農産物コンテスト: 巨大カボチャ、巨大スイカ、最も美しいトマト、最も大きなヒマワリ。ジャム・パイ・ピクルスの品評会もある。家庭菜園の延長戦がここにあります。

移動遊園地(Carnival): 観覧車、バンパーカー、射的、綿菓子、フライドオレオ。Carnival Rideと呼ばれる移動式の遊具がトレーラーで運ばれてきて組み立てられます。安全基準に不安を覚える乗り物もありますが、それも含めて体験です。

フェアフード: ここでしか食べられないものがあります。コーンドッグ(棒付きのフランクフルトに衣をつけて揚げたもの)、ファンネルケーキ(渦巻き状に揚げた生地に粉糖をかけたもの)、そしてフライドバター(バターの塊を揚げたもの)。カロリーの概念が一時停止する空間です。

4-Hと子どもの教育

カウンティフェアの核にあるのが4-H(Head, Heart, Hands, Health)プログラムです。USDAの拡張教育プログラムで、全米約600万人の若者が参加しています。

子どもたちは動物の飼育、農作物の栽培、工芸、料理等のプロジェクトに取り組み、その成果をカウンティフェアで発表します。「自分で育てた動物を評価される」経験は、アメリカの農村部における教育の柱のひとつです。

在住日本人にとっての意味

都市部に住む日本人駐在員にとって、カウンティフェアは「知らないアメリカ」に触れる機会です。

ニューヨークやシリコンバレーのアメリカとは完全に別のアメリカがここにある。農業で生計を立て、教会に通い、金曜の夜はフットボールの試合を観に行く人々の暮らし。その人々がどんな誇りを持ち、何を大切にしているかは、カウンティフェアの会場を歩くと感覚で理解できます。

入場料は$10〜20(約1,550〜3,100円)程度。8月から9月にかけて、住んでいる州のカウンティフェアを検索してみると、想像とは違うアメリカに出会えます。

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